2017 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis of a self-oscillating microgel actuator by laser
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17H03209
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
原 雄介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (90452135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中住 友香 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究員 (80738021)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | レーザー / 合成技術 / BZ反応 / アクチュエータ / マイクロ流路 / 微細構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、マイクロメータースケールのゲルを鋳型フリーで合成するために必要な、モノマー濃度や開始剤濃度、 反応促進剤の種類など、レーザー光を用いたゲル合成を行うために必要な溶液条件の検討を行った。本実験では、405nm連続光・半導体レーザーを用いて、数百μmの構造物の作製を目指して条件検討を行った。2から4つのレーザー光を干渉させることが可能な、微細なゲル合成のための光学系システムの構築を行った。2つのレーザー光を干渉させると縞状に、また3つもしくは4つのレーザー光を干渉させるとドットアレイ状のレーザー干渉光を、ゲルの前駆体であるプレゲル溶液に照射することが可能である。光の強度調節には、レーザー光の偏向方向を制御する波長板と偏向選択性のあるビームスプリッターを用いた減光器を用いて行った。構築した装置を用いて、ゲルを合成する際には非常に重要なファクターとなる照射強度や照射時間の検討を行った。 作製を目指すゲルは、化学反応を直接的に力学的なエネルギーに変換して駆動させるため、高分子の主鎖にBZ反応の金属触媒であるRu(bpy)3部位を持つ。Ru(bpy)3はBZ反応中で、自励的な酸化・還元反応を起こし、その際に酸化状態と還元状態の水溶性の違いに起因してゲルの自励的な膨潤収縮運動を起こす。本研究では、微細なゲルを駆動させる際の駆動周期のコントロール因子を明らかにするため、Ru触媒部位を有する高分子鎖に対して、温度やBZ基質濃度、高分子濃度が与える駆動周波数や駆動特性に関する検討を詳細に行った。その結果、温度が高いほど、またBZ基質濃度が高いほど駆動周期が短くなることが明らかになった。また、高分子濃度に関しても駆動挙動に大きな影響を与えることが明らかになった。今後は本年度得られた知見を基に、微細なゲル構造物の作製、および駆動解析に役立てていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、マイクロメータースケールのゲルを鋳型フリーで合成するために必要な、モノマー濃度や開始剤濃度、反応促進剤の種類など、レーザー光を用いたゲル合成を行うために必要な溶液条件の検討を行った。また、レーザー光の照射により微細なゲルの構造物を作製するため、2つから4つのレーザー光の干渉によって縞状パターンやドットアレイパターンのゲル構造物を作製可能な、光学系システムの構築及び最適化を行った。本検討により、微細な構造物をモノマーから合成する際には、照射強度や照射時間が非常に重要であることが分かった。また、モノマーの開始剤濃度、反応促進剤の有無もゲルを合成する際の重要なコントロールファクターであることが分かった。また、微細なゲルを化学反応で駆動させるための基礎検討として、温度や高分子濃度、BZ基質濃度が与える駆動周波数への影響について、基礎検討を行った。これらの成果をまとめ、査読付きプロシーディングス3報に発表するとともに、国内および国際会議で発表を行った。今後は、本年度得られた知見をさらに発展させて、微細なアクチュエータの合成をマイクロ流路内などの微細空間で行うことに挑戦したい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、任意の大きさ及び構造周期を持つマイクロスケールのゲルを鋳型フリーで合成するための基礎検討を継続して行う予定である。特に、モノマーや架橋剤、開始剤、反応促進剤などゲルの合成に欠かせない試薬濃度の最適化を行うことを計画している。また、ゲルを合成する際に非常に重要となるレーザー光強度、照射時間の最適を引き続き行うことで、狙ったゲルの構造周期や形状を再現性よく作製可能にすることを狙う。この際、構築した光学系についても随時改良を行い、希望する縞状構造やドットアレイ構造の干渉光を照射できるようにする。また、レーザー光で合成したゲルアクチュエータを評価するため、モルフォロジーについてSEM等を用いて観察する予定である。駆動時の変位や耐久性についてもビデオ撮影やレーザー変位計を用いて評価する予定である。ビデオ撮影時には、高性能マイクロスコープ、除振台、長時間記録装置、レーザー変位計、移動ステージ、データロガー等を用いて行うことを予定している。また、自励振動ゲルを駆動させるために重要なファクターとなる温度条件やBZ基質濃度に関する検討も合わせて行っていく。
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Research Products
(12 results)