2018 Fiscal Year Annual Research Report
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17H03219
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
餘利野 直人 広島大学, 工学研究科, 教授 (70182855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 敏久 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (30254155)
造賀 芳文 広島大学, 工学研究科, 准教授 (40294532)
関崎 真也 広島大学, 工学研究科, 助教 (70724897)
佐々木 豊 広島大学, 工学研究科, 助教 (10511561)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 電力系統 / パワーエレクトロニクス / 再生可能エネルギー / 蓄電池 / 同期化力インバータ / 単相マイクログリッド / 制御系設計 / 安定性解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
単相同期化力インバータを用いた単相マイクログリッドの構築に向けて、平成30年度は以下の項目について研究を実施した。前年度確立した技術を集約して模擬負荷を用いた単相μGを構築し動作確認を行う。すなわち、前年度構築した電源2台の実験環境にSMUからの信号を与え動作確認を行う。その後、動作確認をしながら電源5台の実験環境の構築準備を行った。その上で次の計画を実施する。(1)周波数調整システム設計と既存分散電源との協調運用機能設計: 周波数偏差に基づいたLFC信号に基づきインバータの出力制御を行い、インバータ群が協調した周波数調整システムを構築した。(2)模擬負荷とインバータ実機を用いた単相μGの実証実験環境の構築: 開発した拡張型同期化力インバータ制御系を5台準備し、広島大学実験研究棟の地下に設置する模擬負荷装置に実装した。(3)DSP ボードへの実装: C言語で記述した開発プログラムをコード化し、専用のDSP ボードを用いてインバータ実機複数台を駆動させ、広島大学実験研究棟での実験準備を行った。(4)完全自立システムに向けたDCバス基本制御動作実験: 同期化力インバータにエネルギーを供給する直流バスには従来型の制御法を採用し,ここでは提案する単相μGの運用に対して十分な制御性を発揮できるかを確認し、必要に応じて制御動作を調整した。(5)完全自立システムに向けた単相μGの基本制御動作検証: 提案法ではインバータに火力発電機の周波数特性を組み込み、既存の三相電力システムの需給調整メカニズムを単相μGにおいて実現を試みた。すなわち、SMU により複数インバータ出力電力を指令し、負荷が持つ周波数特性に見合う需給バランスが達成されるまでインバータが出力を自動的に調整する基本性能をHILにより検証し、パラメータ最適化を行った。以上より完全自立システムとしての機能構築をほぼ完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、(1) 同期化力インバータにおける基本制御系の設計、(2) 単相μGの自立運用システム化、(3) 安定性解析ツールの開発と単相μGの貢献に関する解析評価からなる。(1)については、インバータの基本的な制御系設計を完了し、さらに重要度の高い過電流抑制機能や通常の発電機に備えている機能実装を開発した。これより、性能の良い制御系が構築できたため、(1)については「順調に進展している」と言って良い。また、(2)については、単相マイクログリッドへの需給コントローラの適用のための検討を行い、太陽光発電・電力需要の抑制機能を開発した。よって本項目についても「順調に進展している」と言って良い。一方、(3)については同期化力インバータの安定度解析への適用に関して、基礎的検討を終えた。したがって以上より、全体としては「おおむね順調に進展している」といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は周波数制御技術、協調的電圧制御機能を実装して、模擬負荷を用いた単相マイクログリッド(μG)を構築して実証実験を行う。具体的には、以下を実施する。(1) 実負荷を用いた単相μGの実証実験:広島大学研究棟には、屋上に4系統の単相太陽光発電システム、地階にタップ切替変圧器、電力実験設備があり、前年度の実験環境においては、これらの設備と模擬負荷により単相μG が構成されている。代表者が所属する4階は独立系統となるよう設計されている。そこで、最終年度には模擬負荷を実負荷に切り替え、複数のインバータからなる単相μGを構築する。開発制御系の安定性や性能の評価、複数単相μG の並列運転を実施する。(2) 単相μGの特性評価および貢献度評価:開発ツールを用いて様々な状況下での単相μGの特性を評価する。また、これまでの研究で太陽光発電の導入による基幹系統での安定度低下が確認されているので、インバータの導入量を増加させて安定度の向上効果を確認する。日本全体で太陽光発電の最大導入可能量を評価する。以上の内容をとりまとめ、研究期間内に研究目的を達成する。
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Research Products
(6 results)