2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Light-Emittind Devices on Si Substrates based on Semiconductor Nanowires
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17H03223
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本久 順一 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (60212263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 真二郎 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 准教授 (50374616)
冨岡 克広 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (60519411)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 半導体ナノワイヤ / 有機金属気相成長 / 選択成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) Si基板上に有機金属気相選択成長によるInGaAsナノワイヤの形成手法の最適化を試みた。特に、所望の混晶組成のInGaAsナノワイヤを得るために必要な成長条件について検討した。その結果、同じ供給組成であってもナノワイヤアレイの周期によりInGaAsの組成が異なり、このため精密にナノワイヤのIn組成を制御するためにはアレイの周期を考慮する必要があることが明らかとなった。また、p形Si基板上にpin接合を有するInGaAsナノワイヤ構造を形成し、その構造に対し上下に電極を作製した2端子素子を作製した。その素子の電流電圧特性を評価したところ、整流性を得ることができ、期待どおりpn接合が得られていることを確認した。 (2)InPナノワイヤを用いたLEDを作製し、電気的・光学特性を評価した。特に、外部量子効率の温度依存性、注入電流依存性を評価したところ、外部量子効率は室温から160Kまでは温度とともに向上するが、160K以下より効率ドループが現われ、そして100K付近でピークの値を得た。さらに温度を下げるとドループがさらに顕著となり効率が低下することがわかった。この理由は温度低下にともなう非発光性再結合の減少による内部量子効率向上とともに、電流注入効率の低下のためであると理解できる。 (3)InPナノワイヤ中にInAsPを埋め込んだ構造を形成することによって、通信波長帯で発光する量子ドットの作製を試みた。InAsPを成長させる際に供給するAsH3とTBPの分圧比を系統的に変化させて成長させた試料の発光特性を比較した結果、As供給組成の増大とともにInAsP固相中のAs組成比が増大し発光波長が長波長化すること、Asの固相組成はAsH3の供給組成比よりもはるかに大きいことが明らかとなった。そして、最長で1.473μmと、通信波長帯のS-Bandに到達する量子ドットからの発光を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、Si基板上のInGaAsの成長についてはおおむね順調に進んでおり、pin接合を有するInGaAsナノワイヤの形成と電気的特性の評価まで行うことができた。また、InP基板上のInPナノワイヤLEDの評価を通じて、電流注入により発光する高効率の素子を実現する上で当初想定していたよりもはるかに重要な知見を得ることができ、今後の研究に活用することができる。そして、本研究の重要なターゲットとなっている通信波長帯での発光、特に量子ドットからの発光を得ることに成功するといった成果を得ている。ただし、InGaAsナノワイヤの電流注入発光を達成することができなったのは、研究が遅れてしまっていると言わざるを得ず、今後コアシェル構造を導入することによって達成できると考えてはいるものの、反省点として捉えるべきであると考えている。また、実験設備上の問題により光励起によるWGM型ナノワイヤのレーザ発振の確認が十分行うことができなかったことも遅れている部分である。これら計画よりも進展している部分と遅れている部分もあるということを総合的に判断し、おおむね順調であるとした。
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Strategy for Future Research Activity |
InP基板上の電流注入素子の作製については順調に進んでいるので、この知見を利用しつつ表面における非発光性再結合を抑制することを目的としてコアシェル構造を導入し、Si基板上のInGaAsナノワイヤからの電流注入発光を得ることを第1目標とする。その上で、初年度に予定していた光励起によるWGM型ナノワイヤのレーザ発振の確認を行い、研究として遅れている部分を取り戻す。その他については当初予定どおりの計画で研究を進める。特に今年度からは金属クラッド形の素子についての検討も始めることになっているが、当面は光励起によるレーザ発振を確認することを目標とする。
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Research Products
(9 results)