2017 Fiscal Year Annual Research Report
Low-damage Processing of Nitride Semiconductors Based on Self-stoping Oxdization and Transistor Applications
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17H03224
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 威友 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 准教授 (50343009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本久 順一 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (60212263)
橋詰 保 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (80149898)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 窒化ガリウム / 電気化学プロセス / 低損傷エッチング / トランジスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)AlGaNと電解液界面の電気化学基礎特性を、電解液中の光電流-電圧(光I-V)測定法および容量-電圧(C-V)測定法により明らかにした。暗中で測定したI-V特性は整流性を示し、AlGaNから電解液側に流れる正電流(陽極電流)は観測されなかった。一方、AlGaN層でバンド端吸収される波長300nmの照射光のもとでは、正の陽極電流が観測された。これは、AlGaNと電解液界面に電位障壁が形成され、ちょうどn型ショットキー界面のように、AlGaNと電解液の接触面から電子がAlGaN内部へ遠ざかる方向にバンドが曲がっていることを示している。陽極電流の立ち上がり電圧とC-V特性の結果から、AlGaN/電解液界面の電位障壁はおよそ1.0eV程度と見積もることができた。 (2)AlGaN/GaNヘテロ構造基板と電解液界面の光I-V特性を、照射光波長や強度を変えて測定し、その時観測される正の陽極電流の時間変化とAlGaN表面の陽極酸化状態を明らかにした。AlGaN層で吸収される波長300nmの光照射のもとでは、測定後も比較的平坦な表面を保っていたのに対し、下地のGaN層で吸収される(AlGaN層は透過する)波長360nmの光照射下では、測定後に直径20nm深さ250nmの孔が無数に形成されることが分かった。これはGaN層で生成された光キャリア(正孔)が、AlGaN層を超えて電解液へ供給される際に、電界が集中しやすい箇所へ選択的に輸送され、局所的なエッチング反応が起こったためだと考えられる。また、測定後に比較的平坦な表面が得られた波長300nmの照射条件においては、時間経過とともに正の陽極電流は徐々に減少する振る舞いを見せた。基板表面の電気抵抗が高くなったことが1つの要因と考えられ、本課題で目標とする電気化学エッチングの自己停止機構につながる基礎的現象を観測することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標としていた「GaNおよびAlGaNの電気化学的基礎特性の評価」「AlGaN/GaNヘテロ構造の光電気化学酸化」については、当初の予定通り順調に進展した。また、「電気化学エッチングの自己停止機構」につながる基礎的現象を観測できた点においては、当初の計画以上に進展したといえる。一方、「電解液/AlGaN/GaN界面構造におけるバンド解析と光吸収特性」の調査については、実験系の構築に時間がかかり当初予定よりやや遅れているため、次年度に引き継ぎ進めていく。 総合して判断すると、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた知見をもとに、光電気化学酸化グプロセスの最適化をさらに進め、デジタルエッチング法の開発に取り組む。 (1) AlGaN/GaNヘテロ界面のエネルギーバンド計算をもとに、光照射により生成する光キャリアの界面輸送過程をモデル化する。実験による検証と理論モデルによる分析を進め、光電気化学酸化およびエッチングの自己停止機構を明らかにする。さらに、電気化学条件の調整によりナノメートルオーダーで精密な酸化およびエッチング深さの制御を目指す。 (2) 光電気化学反応により形成した厚さ数nmの酸化膜の化学結合状態をX線光電子分光法により明らかにするとともに、原子レベルで平坦な酸化面が得られる電気化学条件を明らかにする。次に電気化学条件を連続的に変化させ、この表面酸化膜を同一電解液中に溶解させる連続プロセス(デジタルエッチングプロセス)を開発する。 (3) エッチング加工を施したAlGaN/GaNヘテロ構造表面に、ショットキーダイオードおよびMISダイオードを作製し、その電気的特性を、I-V法とC-V法を用いて評価する。同時に、ドライエッチング加工を施した比較用試料を作製し、プロセスや条件の違いにより導入される欠陥・ダメージを定量化する。深いエネルギー位置に存在する界面準位の推定が必要な場合は、光支援C-V法により評価する。測定結果と理論的理想特性との比較を通し、界面準位密度分布の同定を行う。
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