2018 Fiscal Year Annual Research Report
Low-damage Processing of Nitride Semiconductors Based on Self-stoping Oxdization and Transistor Applications
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17H03224
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 威友 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 准教授 (50343009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本久 順一 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (60212263)
橋詰 保 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (80149898)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 窒化ガリウム / 電気化学プロセス / 低損傷エッチング / トランジスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
AlGaN/GaNヘテロ構造に対する光電気化学(PEC)エッチング機構をバンド計算によりモデル化するとともに、本プロセスの低損傷加工特性を実証した。 ポアソン方程式に基づく計算機シミュレーションにより、電解液とAlGaN/GaNヘテロ構造界面近傍のポテンシャル分布計算を実施した。PECエッチング前は、AlGaN/GaN界面には分極により二次元電子ガス(2DEG)が生成しており、光照射により生成した電子が外部回路へ到達するためのチャネルとなっている。この電子の移動により電気化学酸化電流が流れるためAlGaN表面がエッチングされる。さらに、エッチングが進行してAlGaN層が薄くなった状態を計算すると、AlGaN層厚の減少とともに2DEG密度も現象しやがて電子のチャネルが消失し、この時エッチングが自己停止することが明らかとなった。自己停止するAlGaN層の厚さおよびエッチングレートは、入射光強度(フォトン数)に強く依存し、実験結果を定性的に説明することができた。 また、PECエッチング面に形成したSBDの電流ー電圧(IーV)特性は、ドライエッチング面と比べてリーク電流が少なく、得られるショットキー障壁高さもエッチング前と比べて変化なかった。さらに、種々のプロセスを施したGaN面にMISキャパシタを作製し、容量ー電圧(CーV)特性を比較した。ドライエッチング面では大きなヒステリシス特性を示したのに対し、PEC面ではヒステリシスの無い理想曲線にCーV特性が得られた。また、ドライエッチング面に対して重畳してPECエッチングを施したところ、ドライエッチングによるダメージ層が除去され、理想的CーV特性を示すことがわかった。ターマン法から界面準位密度分布を計算したところ、PEC面ではドライエッチング面の約1桁低い値を示した。これにより、光電気化学法の低損傷性が実証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論および実験の両面からのアプローチにより、AlGaN/GaNの光電気化学エッチングの機構を説明することができた。さらに、自己停止機構によるナノメートルオーダーでのエッチング深さ制御を達成し、エッチング面のダメージ評価についても、定量的に評価することができた。よって、今年度目標としていた全ての項目について、当初の計画通りに順調に研究が進展したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
光電気化学エッチング法をAlGaN/GaN HEMTへ適用し、その優位性を明らかにするとともに、本手法を軸とした高信頼性ノーマリーオフ型パワートランジスタの実現に向けたデバイス作製プロセスを確立する。 (1) AlGaN/GaN構造に光電気化学エッチングを適用し、リセスゲートHEMTを完成させる。作製プロセスとして、最初にゲート部分をエッチングしリセス加工を施した後、素子分離用のドライエッチングとソース・ドレイン電極の形成を行い、最後にショットキーゲート電極を形成する。しきい値電圧とリセス深さとの相関を明らかにするとともに、リーク電流の電圧依存性、サブスレッショルド・スロープ(SS値)を評価する。 (2) AlGaN/GaN HEMTのリセスゲート部に絶縁膜を適用した絶縁ゲートHEMTを試作する。ゲート絶縁膜には、原子層堆積(ALD)法で形成される酸化アルミニウム(Al2O3)を用い、堆積後のアニールの有無やアニール温度の違いにより、素子の特性変化を評価する。ゲート絶縁破壊電圧やエミッション顕微鏡を用いたリーク電流部の可視化等を、上の(1)に加えて評価する。 (3) AlGaN/GaN HEMTより大きな耐圧が期待される、AlGaInN/AlGaN HEMTのリセスゲート加工に取り組む。はじめに、AlGaN/GaN構造で開発したエッチングストップ現象をAlGaInN/AlGaN構造でも利用可能か、電気化学的基礎特性の評価により見極める。エッチング面のラフネスを原子間力顕微鏡(AFM)により評価し、AlGaN/GaN構造の結果と比較しながら、条件を最適化する。これにより、様々な窒化物ヘテロ構造へ適用可能とする光電気化学エッチング法を確立する。
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