2018 Fiscal Year Annual Research Report
複数波長量子カスケードレーザを用いた無侵襲血糖測定システムの開発
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17H03242
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松浦 祐司 東北大学, 医工学研究科, 教授 (10241530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 崇史 東北大学, 工学研究科, 准教授 (90415125)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 血糖値測定 / 赤外分光 / 量子カスケードレーザ / 中空光ファイバ |
Outline of Annual Research Achievements |
赤外吸収分光法に基づく非侵襲血糖値測定法において,光源を従来用いられてきた連続波長を発生する赤外ランプから,複数の単一波長量子カスケードレーザ(以下QCL)に置き換えたシステムの開発を行うことを目的として次の2つの事項について検討を行った. 1)QCLに特化した測定システムの開発 従来のランプ光より高いパワー密度が得られるQCLを用いれば,ファイバの細径化が可能である.そこで細径ファイバに適合した小型ATRプリズムの導入により反射回数を増加させ高感度化することを試みた.その結果,感度増大には成功したものの,ビーム細径化により測定対象面へ照射されるビームスポット径が小さくなり,口唇上の局所的な変化による測定値変動を生じさせることが分かった.そこで,ファイバ内に故意に多くの高次モードを励振することにより,プリズム内におけるビーム径を拡大し,プリズム表面のパワー分布を平滑化し,変動を減少させることに成功した. 2)複数のQCLを用いたシステム試作とインビボ測定による実証実験 グルコース分子の吸収波長のひとつである1152cm-1とグルコース吸収が現れない波長1186cm-1の2つの波長を発生するQCLを用いた測定システムを構築し,ヒト口唇を対象とした測定によりその有効性を実証するための実験を行った.5日間にわたって行った実験の結果,光学吸収値から推定された血糖値と.採血により得られた血糖値との間に比較的高い相関が得られ,相関係数は0.67程度となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの2年間で当初の計画にある,I)測定系を構成するQCL波長の最適な組み合わせの探索,Ⅱ)QCLを用いた測定システムの開発,Ⅲ)複数のQCLを用いたシステム試作とインビボ測定による実証実験,の3項目について実施してきたが,測定される値の変動による誤差がまだ大きく,目標達成には更なる検討が必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
現状でほぼ計画通りに研究が進んでおり,良好な結果も得られはじめているものの,問題点もいくつか明らかになってきた.今後はこれらをひとつずつ解決するとともに,研究をさらに加速させ,実用化システムのためのプロトタイプ作製まで行う予定である
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