2017 Fiscal Year Annual Research Report
High-performance Si/SiGe RTD with fully compressively strained SiGe of high Ge composition ratio formed by sputtering method
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17H03245
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
須田 良幸 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10226582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 貴広 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50640942)
広瀬 信光 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所企画室, エキスパート (90212175)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 電子デバイス・機器 / 量子エレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
高いGe組成で完全歪の得られるスパッタエピタキシー法を用いて、正孔トンネル型Si/SiGe共鳴トンネルダイオード(p-RTD)の基本的な作製法を探索した。始めに、3重障壁(2重量子井戸、DQW)構造を用いて、従来用いてきたガスソース分子線エピタキシー(GSMBE、CVD法と同等)法で作製した素子との特性の比較を行った。GSMBE法では、Si上にほぼ完全歪の得られるGe組成比18%のSiGe量子井戸を用いた構造で、エミッタ層の不純物濃度が7.7×10^18/cm3のとき、ピーク電流密度92 kA/cm2を得た。一方、スパッタエピタキシー法では、同一Ge組成比の同一の構造で、不純物濃度が2.1×10^19/cm3のとき、ピーク電流密度207 kA/cm2を得た。これは他研究機関の従来の世界最大電流密度である46 kA/cm2のおよそ4倍であり、スパッタエピタキシー法によるエピタキシー膜の結晶品質が優れていることを示している。また、スパッタエピタキシー法ではGe組成比を高くできるため、単一量子井戸(SQW)でp-RTDの作製が可能となることを示した。さらに、SQW p-RTDで、量子井戸幅の最適化を行い、量子準位の高さと共鳴時のポテンシャルの対称性とトンネル電流の相関から、最適な量子井戸幅を評価した。次に量子井戸層のGe組成比の最適化を行い、完全歪が得られるGe組成比は28%程度であり、量子準位の高さと共鳴時のポテンシャルの対称性とトンネル電流の相関から、量子井戸層の最適なGe組成比を評価した。これらの最適な構造とGe組成比を用いて、障壁層厚1.6nmの素子で、107 kA/cm2の高いピーク電流密度を得た。以上、SQW p-RTDで、構造と特性との系統的相関を取得し、良好なRTD特性の得られることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開発の目標に対応し以下を達成した。(1)(DQW)Si/Si1-xGex p-RTD の組成・構造とRTD 特性との相関、および、そのRTD特性、および、CVD(GSMBE)法で作製したRTDの特性との比較を行い、スパッタエピタキシー法を用いて優れたRTD特性の得られることを示した。(2) シミュレ―ションのためのプログラムを開発し、一重量子井戸(SQW)Si/Si1-xGex p-RTD の構造とRTD 特性との相関の概要を把握した。(3) CVD 法とスパッタエピタキシー法により成膜したSi/Si1-xGex p-RTD のGe 組成比と平坦性(RMS値)との相関、および、Ge 組成比とSi との整合性との相関の評価し、完全歪の得られるSiGe層のGe組成比が、スパッタエピタキシー法で高いことを示した。(4) スパッタエピタキシー法を用いた以上の探索の中でSQW p-RTDを試作し、SQW p-RTDが良好に動作することを示し、RTD特性と構造とのおおよその相関を把握した。(5) スパッタエピタキシー法を用いて作製したSQW p-RTDにおいて、エミッタ層のドーパント濃度を変化し、ピーク電流密度がドーパント濃度に比例的に増大することが判った。(6)以上により、スパッタエピタキシー法をp-RTD に適応したときのSi1-xGex のSi との整合性および結晶性を評価し、また、RTD 特性との基本的な相関が把握できた。当初掲げたRTD特性の温度依存性の評価は進まなかったが、以上により、今年度に掲げた、研究開発目標はおおむね順調に進展できたと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30 年度は、29 年度に検討した事項を基に、目標とする性能向上への取り組みとして、1) シミュレ―ションによるエミッタ層、コレクタ層のドープ濃度と一重量子井戸Si/Si1-xGexp-RTD のRTD 特性との相関の把握、2)引き続き構造と製造プロセスの最適化、さらに、3)エミッタ・コレクタ層の低接触抵抗・耐熱性のオーミック電極形成技術の開発、4)電極形成のための素子分離法の探索、さらに、5)高周波特性に適する電極パターンの設計と高周波特性の評価を進め、一重量子井戸によるSi 系p-RTD の特性の向上とスパッタエピタキシー法の有効性を評価して、高周波動作を図り、Si 系RTD の基盤形成技術の確立の進展を図る。
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Research Products
(6 results)