2017 Fiscal Year Annual Research Report
The world's smallest needle-electrode: enabling low-invasive neuronal recording electronics for the brain
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17H03250
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
河野 剛士 豊橋技術科学大学, 電気・電子情報工学系, 准教授 (70452216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋田 一平 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10612385)
鯉田 孝和 豊橋技術科学大学, エレクトロニクス先端融合研究所, 准教授 (10455222)
沼野 利佳 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30462716)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / 細胞外電極 / MOSFET / 実装技術 / 脳計測 / 無線化 |
Outline of Annual Research Achievements |
米国、欧州をはじめとし脳科学研究分野の重要性が拡大している。時空間分解能等における“質”の高い脳信号計測には、侵襲型電極が必須だが、既存の技術では電極直径が数十~数百μm以上と大きく電極刺入に伴う組織損傷、細胞損傷、これに起因した長期安定測定が重要な課題であった。本研究では、これまでの科研費研究(基盤研究、若手研究)で開発してきた直径5 μmの世界で最も細いプローブ電極の発展として、基板を含む電極デバイス全体を小型化し、さらには無線化技術を確立し、これをもって既存デバイスでは成し得なかった超低侵襲、超低負担な脳計測エレクトロニクスを実現する。本研究提案を実現することで、脳神経科学への貢献、医療分野では次世代脳計測技術・質の高い医療サービスの提供のみならず、脳疾患への応用として例えばヒトてんかんの診断やそのメカニズムの解明、さらには侵襲型ブレイン・マシン・インターフェース技術の発展につなげる。 研究目的を達成するため、平成29年度までに提案電極による細胞、組織、個体レベルまでの損傷評価を実施し、電極の安定性向上、埋め込みの長期化の実現性を示した。また、デバイスの小型化、実装、埋め込み技術を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況を下記に示す。
1-1. 細胞、組織レベルの損傷評価:マウス脳の損傷領域とニューロン活動(スパイク)記録の有意性との相関を評価した。その結果、電極基板(1 mm×1 mmの)の機械的なストレスによる損傷とスパイク記録の間に逆相関が見られた。これは、5 μmプローブのみならず基板による損傷を低減することで低侵襲な慢性ニューロン記録を提供することを示す[K. Yamashita et al, Int. Conf. Transducers 2019]。 1-2. 動物サンプル(個体レベル):電極埋め込みに伴う個体レベルの評価として健康状態の指標となる体重推移を観察した。その結果、プローブ電極に伴う動物個体レベルでの影響が無いことを確認した。 2-1. デバイスの基板小型化および実装技術:頭蓋骨及び硬膜(脳組織表面の膜)の開口部の極小化、脳組織への接着面積の低減として、1 mm×1 mmの電極を設計・製作した。また製作した電極のポリイミド製フレキシブル配線への実装技術を確立した。デバイス評価としてマウス脳を用いた計測を実施し、刺激に誘発された局所信号電位およびスパイク信号を計測した[Y. Kita et al, Int. Conf. IEEE MEMS 2018, Y. Kita et al., in preparation]。 2-2. 長期安定計測: マウスを用いた評価において計測の安定性向上、長期化を証明した。埋め込み期間は、数週間以上、最長で6ヶ月以上でその期間に渡り神経計測(Single unit)を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに申請書で計画した提案電極による細胞、組織、個体レベルまでの損傷評価、電極の安定性向上、埋め込みの長期化の実現性を示した。また、デバイスの小型化、実装、埋め込み技術を確立した。この実績を基に、今年度では電極デバイスのアクティブ化、さらに電極のマルチチャンネル化へ展開させる。 1. 低雑音アンプを含めたアナログフロントエンド(AFE)をVLSプローブ電極の直下に搭載する。AFEの搭載は、先ず1チャンネル(ch)から実証試験を行う。AFEの搭載による信号対雑音比を評価する。また実験動物を用いたデバイス評価も実施する。 2. 既に試行しているSi貫通配線(TSV)基板構造[浦岡他,第75回応用物理学会, 2014]を用いて電極モジュールの多チャンネル化を検討する。電極間隔には、脳のカラム構造(約400 μm)を考慮した200 μm以下を実現する。 3. その他、電極基板の機械的なストレスによる脳損傷が明らかになったため、これを低減するデバイス技術を検討する。また、デバイス技術のみならずその埋め込み手技においても脳損傷および長期計測の実現性に関わることより、この点も引き続き検討を実施する。
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Research Products
(19 results)