2018 Fiscal Year Annual Research Report
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17H03255
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 和利 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (10563827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保木 猛 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (50756236)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | テラヘルツ波 / 無線通信 / パルス波 / フォトミキシング / フォトミキサアレー |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度に確立した高繰り返し光パルスからフォトミキシングにより100GHz高繰り返しパルス波を生成し、そのパルス波形の測定法を確認した。空間に放射されたテラヘルツ波は電波であるため、波形測定するためには一度アンテナで受信して電気信号に変換し、この電気信号が伝送線路上で発生する電界を検出するのが従来の方法であった。この方法では高感度な電界検出のために非線形光学結晶と組み合わせた高出力短パルスレーザなどの大規模な設備が必要であり、また伝送線上では電気信号の高周波成分が減衰し正確な波形測定ができないという問題がある。H30年度はこの問題点を根本的に解決するために、テラビット級パルス波形を空間に存在した状態で測定する方法を開発した。その測定系はフォトミキサを介して光ファイバと電波空間を接続した経路から成るマッハツェンダ干渉計という新たな構成である。さらにこの実験系を用いて100GHz, 200GHz, 300GHzの高繰り返しパルス波の波形測定に成功した。これらの成果を国際会議に5件、国内学会に6件発表した。そのうちの国内研究会において2回優秀発表賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H30年度の計画として掲げていた、高繰り返し光パルスからのフォトミキシングによる100GHz高繰り返しパルス波生成、およびそのパルス波形測定をするために、パルス波を二分岐し、一方を光の段階で遅延させておいて自己遅延干渉により波形を測定するという準光学的手法を基盤技術として確立し、標準的手段として利用できる体制を構築している。この方法のキー技術となるパルス波の分岐と干渉は、研究代表者らが開発したUTC-PDアレイによる空間合波技術を用いた。複数のUTC-PDアレイから空間にパルス状の電磁波を放射しこれらを空間合波する系に光遅延器を追加して自己遅延干渉計を構成したものである。この実験系を用いて実際に分解能0.1psで繰り返し周期300GHzのパルス波を波形測定が可能な段階に達しており、H31年度の最終目標に向けた準備が整えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
計画は順調に進んでいるが、今後は最大の課題である一つ一つのパルスに変調をかける研究に取り組む。変調をかける方策として当初計画にあげていた、パルス列に直接変調をかける方法に加えて、バックアップとして別の変調方法を並行して進める。この方法は目的とする繰り返し周波数よりも低い周波数のパルス列を生成し、そこに変調をかけた後にパルス列どうしの間に遅延時間の差を付けて合波する、いわゆる時間多重である。この方法を用いて最終年度は高繰り返しパルス列に確実に変調がかけられることを実演する。
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