2017 Fiscal Year Annual Research Report
機能性誘電体層集積導波管スロットアレーアンテナとその近接テラヘルツ無線応用の研究
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17H03268
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| Research Institution | Chiba Institute of Technology |
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Principal Investigator |
枚田 明彦 千葉工業大学, 工学部, 教授 (40500674)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣川 二郎 東京工業大学, 工学院, 教授 (00228826)
永妻 忠夫 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (00452417)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 近接無線 / アレーアンテナ / 電波吸収体 / テラヘルツ |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アレーアンテナ上に周期的な金属パタンを配置した機能性誘電体層を一体形成したアンテナ構造の設計論を確立し、新奇材料集積平面アレーアンテナという新学術分野を開拓するとともに、本アンテナのテラヘルツ帯超高速近接無線への適用性を実証することである。
平成２９年度は、slot ring resonator(SRR)を規則的に配置した電波吸収体を設計し、125GHzで -37dB の吸収特性を実現した。アレーアンテナについては、広帯域化した導波管並列給電平面スロットアレーアンテナを設計し、反射-14dB以下の比帯域19.6％を実現した。さらに、SRR吸収体と平面スロットアレーアンテナを一体集積したアンテナを利用した近接無線の伝送特性のシミュレーションを実施した。近接無線の伝送特性を改善するため、スロット上のSRR吸収体をSRR導波体に置換したSRR吸収体・導波体一体集積平面スロットアレーアンテナを設計し、送信‐受信アンテナ間の透過特性を2.7dB改善した。また、本アンテナの利用により、多重反射波の強度を20dB以下に抑制し、120-130GHzにおけるS21の変動を3dB以下に抑えた。また、平面スロットアレーアンテナ単体を利用したデータ伝送実験を実施し、送信アンテナ近傍における受信アンテナ位置のデータ伝送特性に与える影響を評価した。
このように、機能性誘電体層一体集積平面スロットアレーアンテナで、微小金属パタンとアレーアンテナの配置周期や相対位置等が機能性誘電体層の特性や電波の透過特性、アンテナ―誘電体層間の整合に与える影響を明らかにし、最適なSRR電波吸収体の設計に成功した。また、上記アンテナを送信－受信アンテナに利用した近接無線伝送系で、機能性誘電体膜が多重反射波を選択的に減衰させることにより、直接波／多重反射波の比 20dB 以上を実現するという目標を達成した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(１）テラヘルツ帯での平面アレーアンテナ‐機能性誘電体層一体構造の設計論の確立：石英基板上にSlot Ring Resonator(SRR)を規則的に配置した電波吸収体を設計。高抵抗材料Ta2N薄膜の利用により、125GHzでのS11は-37dB、10dB帯域は41GHzと広帯域での電波吸収特性を実現。平面スロットアレーアンテナのスロット直上のエリアにおいて、近接無線通信の透過特性のSRR吸収体の開口部面積依存性を評価。2×3素子のSRR除去により、直接波の透過特性と多重反射波の抑制の両立を実現。
（２）誘電体層形成による平面スロットアレーアンテナの高機能化：積層薄板拡散接合導波管並列給電16x16素子スロットアレーアンテナを125GHz帯で設計試作。放射素子単位である2x2素子サブアレーの設計において反射-18dB以下の比帯域22.6％を実現。アンテナ全構造の解析では反射-14dB以下の比帯域19.6％、125GHzにおいて利得32.8dBiをアンテナ効率78.9%で実現。SRR吸収体集積平面スロットアレーアンテナで、近接無線通信における直接波の透過特性向上させるため、スロット直上のSRR吸収体を金薄膜で形成したSRR導波体に置き換えたモデルを設計し、透過特性を2.7dB改善。
（３）平面スロットアレーアンテナを使用した超高速近接データ伝送：平面スロットアレーアンテナを送信、導波管プローブアンテナを受信に使用した近接無線伝送特性を評価。送信‐受信アンテナ間距離が1mm以下では、受信アンテナの位置に応じてBER特性が大きく変動するが、2.5mm以上ではほぼ一定のBER特性を得た。SRR吸収体・SRR導波体集積平面スロットアレーアンテナを送信に使用した近接無線伝送特性のシミュレーションを実施。アンテナ間での多重反射抑制により120-130GHzでのS21変動が3dB以内となった。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成２９年度は、機能性誘電体層による近接無線での多重反射の抑制及び平面スロットアレーアンテナの広帯域化に関し、設計が完了した。また、機能性誘電体層及び平面スロットアレーアンテナの予備試作を実施し、プロセスの課題抽出を行った。今後は、予備試作の結果を反映した機能性誘電体層及び平面スロットアレーアンテナの試作・評価を実施し、所望の特性が得られることを実験により実証する。さらに、これらの機能性誘電体層及び平面スロットアレーアンテナを利用した近接無線でのデータ伝送実験を実施し、本提案技術の超高速近接無線への適用性を実証する。また、平成２９年度は近接無線伝送特性のシミュレーションにおいて、受信アンテナにはシングルスロットアンテナを利用したが、今後は、送信・受信ともSRR 吸収体・SRR 導波体集積平面スロットアレーアンテナを利用した近接無線の伝送特性の評価を実施する。
この他、送信‐受信アンテナを接触した場合に微小金属パタンの共振モードが分裂する現象を利用した電波透過率制御の設計論の確立に向けて、二つの誘電体層上に形成した規則的な微小金属パタンを極近接させた場合に発生するプラズモン混成共振モードについて、微小金属パタンの形状や、近接する微小金属パタン間隔、上下のパタンの位置ずれと、共振モード分裂の周波数間隔や透過率の変化などの誘電体層の物性との関係を明らかにする。この設計論を利用し、送信－受信アンテナを接触した場合と、送信アンテナ単体の場合の比較で、受信アンテナが接触したエリアのみ電波の透過率を 15 dB 以上減少させる送信‐受信アンテナの設計・試作・評価を実施する。
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