2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H03277
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
末廣 純也 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (70206382)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 誘電泳動 / 遺伝子 / DNA / Bio MEMS |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、新型インフルエンザや口蹄疫などのウイルス感染症のパンデミック(地球規模での流行)が大きな脅威となっており、その拡大を水際で食い止める迅速・簡易な遺伝子診断(以下、DNA診断)技術の開発が喫緊の課題となっている。研究代表者は、上記二つの独自技術を発展的に融合させたDNA診断技術を提案し、科研費の基盤B(平成26-28年度)および挑戦的萌芽(平成28-29年度)などの支援の元で開発を進めてきた。その特徴は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)で増幅したDNAをマイクロビーズ表面に結合させ、その際に生じる誘電泳動特性の変化を応用する点にある。本研究では、研究代表者が世界に先駆けて開発に取り組んでいるDNA修飾マイクロビーズの誘電泳動現象を利用したDNA診断技術を、進行波電界を利用した新しい検出原理に基づき更に高感度化すると同時に、極微量の生体関連物質を電気的に簡便・迅速に検出する計測原理の確立を目指している。今年度の主な成果は下記の通りである。 (1)進行波誘電泳動デバイスを試作し、DNAで修飾した微粒子が進行波誘電泳動によって運動することを実験により確認した。 (2)(1)の運動速度とDNA修飾量との関係を調べた結果、微粒子1個当たりに10000個のDNAを修飾することで、運動速度が上昇することを確認した。この結果は、研究代表者が過去に開発した正の誘電泳動を利用したDNA検出法に比べ、提案手法が現段階で約10倍高感度であることを意味している。 (3)DNA検出の感度と精度を更に向上させるために、より多くの微粒子の運動速度を一度に解析できる画像処理ソフトウェアを導入した。更に、進行波誘電泳動に用いるマイクロ電極をクロム電極から透明なITO電極に変更し、電極数も増やすことで粒子運動の観察がより容易に行えるようにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題で新たに提案した進行波誘電泳動を用いたDNA検出が可能であることを実験により実証すると共に、研究代表者が過去に開発した正の誘電泳動を利用したDNA検出法に比べ、提案手法が現段階で約10倍高感度であることを示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
進行波誘電泳動デバイスの改良や微粒子運動解析の精度向上などにより、更なる高感度化を目指すと共に、細菌から抽出したDNAサンプルへの適用性を調査する。
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Research Products
(3 results)