2018 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of systems in uncertain networks
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17H03281
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉江 俊治 京都大学, 情報学研究科, 教授 (80171148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸田 一郎 京都大学, 工学研究科, 講師 (20625511)
東 俊一 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40420400)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | システム同定 / 閉ループ同定 / ネットワーク化システム / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
安定化出力誤差法については、不安定システムの初期状態の影響により,モデル化誤差の精度が大きく悪化することが難しさの本質の一つであることを指摘し,仮想安定化補償器の必要性が明確となった.従来の閉ループ同定法をサーベイし,その本質的な差異をより明確化した.また対象システムに入力飽和や入力端での非線形性が存在する場合についても,その影響を陽に考慮した数値例により,本手法が有効であることを示した. 不安定システムを同定できる核ノルム最小化部分空間同定法では,出力予測誤差の大きさを考慮しながら適切にモデル次数を決定できるが,計算負荷が高く,比較的小さなデータしか取り扱えない.これに対して長い信号データを適切な空間への射影を併用する手法を提案していたが,この手法を連続時間システムの同定に適用できる一つの目処がつき,初期的な成果が得られた. 機械学習の一つの基礎をなすカーネル法を利用したシステム同定に関しては,ある種の非線形システムを対象として精度よくシステム同定するための入力設計に関して,一つの知見を得た.また,この同定手法を援用することにより,データ駆動型の制御器チューニングの手法を提案し,その有効性を数値例および実験により確認した. ネットワーク化システムへの応用として,グラフ信号の修復に関する成果を得た.これはグラフ信号にある種の構造を仮定することにより,欠損した信号を修復するものであり,本テーマの当初予期していない方向への展開である.一方,多数のエージェントによるフォーメーション形成に関して,階層化構造を導入した分散制御策について,従来結果を一般化する一つの結果を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
閉ループ同定およびネットワーク化システムへの応用に関しては,当初に予定していた項目について着実に成果が出ている.また,機械学習の手法を用いたシステム同定のアプローチでは,当初想定していなかった成果が得られつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
安定化出力誤差法について:この手法の一つの本質は仮想補償器による対象システムの初期状態の影響の抑制であったが,実際の補償器に関する情報が不完全な場合に対応する方法について検討する.たとえば,対象システムのモデルと仮想補償器を同時に求める方式についても研究を進める.これにより,仮想補償器の役割の本質について深く考察することが可能になるとともに,仮想補償器が既知であるという本手法の弱点を克服できることが期待される. 信号の射影に基づくシステム同定については,先ず,離散時間モデルの同定に関するこれまでの成果を精査し,成果をまとめて,論文として投稿できるレベルまで仕上げることに注力する.つぎに,連続時間モデルの同定については,射影すべき空間の選定や,核ノルム最小化に基づく次数の選定などについて,さらに考察を進める.昨年度より適用範囲の拡大について検討する. 機械学習的な手法の援用については,昨年度に続き,カーネル法を中心とした機械学習的手法を,システム同定および制御に,有効に利用する方法について,検討を進める.周波数領域でのノンパラメトリックモデル,時間領域におけるパラメトリックモデル等の,まだ世界的にもその研究が十分とはいえない問題を含め考察を進める. ネットワーク化システムへの応用については,昨年度の成果を基礎として,不確かなネットワーク化システムを対象として,分散制御や信号処理等の分野において,さらに発展させる方向で検討を進める.マルチエージェントシステムに関しては,昨年度の成果の一般化について検討する.
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