2018 Fiscal Year Annual Research Report
凍土方式遮水壁の凍土・未凍土境界における遮水性劣化の防止技術の開発
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17H03307
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
伊藤 譲 摂南大学, 理工学部, 教授 (30281752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
所 哲也 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (40610457)
石川 達也 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 教授 (60359479)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 凍土遮水壁 / 凍土 / 未凍土 / 遮水性 / 通水性 / 透水係数 / 凍結融解土 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)凍土壁に接する未凍土の構造と透水性の評価:研究初年度に導入した中型水平凍結実験装置を用いて、0℃一定温度に管理された低温チャンバー内で水平方向凍結融解・ 透水実験を実施した。当初は予圧密圧力と実験圧力を様々に変化させる予定であったが、2種類の土に対する同じ条件による実験を繰り返した。供試体中に発生するクラックの発生状況については、当初のインターバルカメラによる撮影では結露が防げないために、インターバルカメラによる観察は次年度に持ち越し、今年度は手動による定点観測を行った。凍結融解実験において、凍結前の未凍土、供試体が部分的に凍結した時,完全凍結後の完全融解時の透水係数を鉛直方向の変水位透水実験から測定する手順は確立できた。しかし、実験期間が1週間程度と短いために、凍土が成長する過程で透水係数を測定しているので、凍土が吸水する水分を控除することが困難であり、透水係数の測定値の精度に課題が残る。
(2)0℃付近での凍土の透水係数の測定とその推定方法:凍土透水試験、物理試験を継続して実施するとともに、多角的に得られた凍土透水係数と物理定数の相関性を分析し、凍土透水係数の推定手法を構築する事が目的であり、今年度は、従来の凍土透水係数の測定法よりも正確で迅速性が期待できる「遷移パルス法」を試みた。その結果、凍土の透水係数の測定が可能であることを確認できた。
(3)凍上・凍結融解を受ける凍土遮水壁の地下水流浸透解析手法の確立:模型試験結果及び要素試験結果との連携をとりながら、凍上・凍結融解や水平クラックの発生に伴う凍土壁の遮水性の劣化を考慮可能な2次元熱伝導・浸透連成解析プログラムを開発した。この結果、模型試験や要素試験で確認された温度変化、含水比変化、凍上融解に伴う透水性の変化が表現可能となり、熱物性値及び透水性の異なる凍土壁互層地盤における地下水流の浸透状況の把握が可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)凍土壁に接する未凍土の構造と透水性の評価:本研究の目的である凍土壁前面の未凍土の透水係数を測定する方法を考案して測定することができた。現段階では採取データの再現性に課題があると思われるが、今年度は実験時間を延長するなどを工夫して課題を解決する予定である。
(2)0℃付近での凍土の透水係数の測定とその推定方法:新たに開発された凍土透水係数の測定方法により、測定時間が大幅に短縮される可能性がある。なお、この方法の精度については継続的に検証する必要性がある。
(3)凍上・凍結融解を受ける凍土遮水壁の地下水流浸透解析手法の確立:凍土遮水壁の遮水性の劣化を考慮可能な2次元熱伝導・浸透連成解析プログラムを開発した。この結果、模型試験や要素試験で確認された温度変化、含水比変化、凍上融解に伴う透水性の変化を表現可能となり、熱物性値及び透水性の異なる互層地盤における地下水流の浸透状況の把握が可能になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)凍土壁に接する未凍土の構造の変化と透水係数の測定:研究初年度に導入した中型水平凍結実験装置による凍結融解・透水実験を実施する。温度管理された低温チャンバー内で水平方向凍 結融解・ 透水実験を実施する。予圧密圧力・実験圧力の違い、冷却温度の変化に対応して供試体中に発生するクラックの発生状況を観測する。供試体は水平方向から凍結させ、その際、凍結前、供試体が部分的に凍結した時、完全凍結時、完全融解時の透水係数を鉛直方向の変水位透水実験を行い求める。今年度は、実験期間を従来の1週間から3週間以上に伸ばし、収縮クラックが視覚的に観察可能なレベルまで成長することを確認する。 (2)0℃付近での凍土の透水係数の測定とその推定方法:凍土透水試験を継続して実施するとともに、多角的に得られた凍土透水係数と物理定数の相関性を分析し、凍土透水係数の推定手法を構築する 。具体的には、凍土中の不凍水量の計測結果から凍土中の透水に有効な間隙を定量化し、透水試験から得られた凍土透水係数と照合することで、凍土の透水性の推定手法を検討する。 (3)凍上・凍結融解を受ける凍土遮水壁の地下水流浸透解析手法の確立:模型試験結果及び要素試験結果との連携をとりながら①~④の検討を続ける。①新たに開発中のミクロモデルを利用した数値実験による水平クラックの発生条件の確立、②前述のミクロモデルからマクロモデルへのアップスケーリング方法の提案、③凍土壁における凍上・凍結融解や水平クラックの発生に伴う遮水性の劣化を考慮可能な2次元熱伝導・浸透連成解析プログラムの確立と3次元モデルの検討、④熱物性値及び透水性の異なる凍土壁存在互層地盤における地下水流の浸透状況把握と新規開発解析手法の適用性の検証。
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Research Products
(7 results)