2017 Fiscal Year Annual Research Report
時間スケールの異なる海面変化が護岸の高波による地盤不安定化に与える影響評価
Project/Area Number |
17H03308
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
高橋 英紀 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 主任研究官 (60371762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 明彦 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 研究官 (80755893)
森 信人 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90371476)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地盤工学 / 海岸工学 / 護岸 / 遠心模型実験 / 波浪 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,高波で被災する護岸について遠心模型実験やFEM・DEMといった数値解析を適用して,地盤に起因する被災のメカニズムを解明する。また,海面上昇に影響を受ける地盤内の水位が地盤の不安定化に及ぼす影響を評価する。特に,台風等による高潮と地球温暖化による海面上昇のように,時間スケールの異なる海面上昇の影響を明らかにする。最後に,地盤の不安定化メカニズムや水位が不安定化に与える影響を踏まえて,対策手法を検討する。平成29年度には,遠心力場で非線形性の強い波を再現する方法について検討した。検討では,遠心力場において波を作り出し,流体解析の結果と比較することで,その妥当性を明らかにした。また,流体解析において,長尺と短尺の前浜での砕波の状況を比較し,短尺の前浜で実施した遠心模型実験での波の特性について調べた。ただし,波の非線形挙動は複雑であり,当該年度においては十分な成果が得られなかったために,この点について平成30年度も補足的に検討を続ける。波の再現に加えて,地盤の不飽和状態の計測方法についても検討を行った。間隙水圧計にあらかじめ正圧をかけておくことで,差圧からサクションを測定できることを明らかにした。これによって,遠心力場において波が来襲する護岸の地盤の不飽和状況を把握することが可能となり,平成30年度の実験で利用していく。FEMコードの作成については,その構想についてとりまとめたところである。平成30年度において,引き続き作成を行っていく。DEM においては,浸透力の変動による地盤のゆるみの検討を行ったが,浸透力の取り込みについて試行錯誤が続いている。平成30年度において,引き続き検討を続けていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遠心力場での波の再現については,波を作り出せることを確認し,その特性も把握できたため,概ね当初の予定を達成できたと考えている。平成30年度には,成果をさらに高めるために,補足的検討を行う。不飽和状態の計測方法については,計測方法を考え,計測できることを確認できたため,当所の予定を達成できた。FEMやDEMの検討については,年度がまたがる検討であるため,達成度を述べるのは難しいが,概ね予定どおり進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度には,遠心力場で非線形性の強い波を再現する方法について検討した。波の非線形挙動は複雑であり,当該年度においては十分な結果が得られなかったために,この点について今年度も補足的に検討を続ける。それに続いて,遠心力場で波浪に対する地盤を含む護岸の安定性について検討する。遠心力を付加することで実物スケールの護岸での地盤の応力状態を再現する。実験では,間隙水圧やサクションなどを計測することに加えて,波と地盤の挙動観察として画像解析技術も利用していく。Ng の遠心加速度場では波の時間相似比は1/N となるために,遠心力場で作動する高速度カメラを利用して波と地盤の動きを撮影する。撮影した画像にPIV 手法を適用し,波と地盤の変形挙動を可視化することに取り組む。平成29 年度に続き,FEM コードの作成を続け,その後,遠心模型実験のシミュレーションを行う。FEM コードの作成おいては,研究協力者にも相談しながら,作業を進める。DEM においては,浸透力の変動による地盤のゆるみの検討を続ける。
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