2017 Fiscal Year Annual Research Report
溶存酸素動態を新機軸とする永続可能な河川ワンド環境のインテリジェントデザイン
Project/Area Number |
17H03311
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山上 路生 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80362458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 哲也 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(つくば中央研究所), 研究員 (10355886)
原田 守啓 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (00647042)
永山 滋也 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 研究員 (70540558)
岡本 隆明 京都大学, 工学研究科, 助教 (70599612)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 環境水理 / ワンド環境 / ガス輸送 / 水理実験 / 野外観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度では、室内水路の基礎実験によって、水面と主水路からの二重DO フラックスを評価できるモデルの開発に重点をおいた.まず水面フラックスのみを考えても、実水域での局所ガス輸送速度の直接計測は難しく,これを水面の流速情報(流速発散)で評価する実用モデルの開発が急がれる.水面ガス輸送フラックスは水面の流速発散値と大きく関わることがわかっている.本項目は研究代表者が長年継続しているテーマでもあるが、直線水路の一様流において流速の発散値とDO計測データを組み合わせて、水面発散強度とガス輸送速度の関係を調べた.このデータをもとに、有限水深効果を組み込んだ新しい水面発散モデルを提案した.次年度ではこのモデルをワンドのような止水域への適用も試みる.次にワンド流れにおけるDO動態の基礎研究を行った.特に直線水路に正方形キャビティゾーンを設けて,さらにワンドと低水路の開口部の閉塞率を可変とした.これは土砂堆積をモデル化したものである.通常の直線水路と異なり,ワンドのDO動態は2つのフラックス境界をもつ.すなわち、1つは自由水面(再曝気)で、もう1つは主水路との交換である.脱気したワンド内のDOの時間変化より、これらを定量評価した. 開口部がわずか1%以下であっても,低水路からのDO供給の影響は大きいことがわかり,河川環境管理の観点から,主水路とワンドの連絡口の重要性が示唆された. また、局所的なDOフラックスの評価を目指して,その準備段階として超極細光学DO計(備品購入)によって,DOの界面濃度境界層厚さの計測に成功した.また濃度輸送方程式を水深積分することで、境界層厚さを理論的に計算した. さらに野外観測して自然共生研究センターのワンドゾーンにて、DOおよび熱フラックスの計測を継続している。 また河畔域の植生の総合管理として、植生林による水流への影響に関しても成果をまとめた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標どおり、室内水路の基礎実験によって、水面と主水路からの二重DO フラックスを評価できるモデルの開発を行った.基礎ステージとして直線水路の一様流において流速の発散値とDO計測データを組み合わせて、水面発散強度とガス輸送速度の関係を調べた.このデータをもとに、有限水深効果を組み込んだ新しい水面発散モデルを提案した. ワンド流れにおけるDO動態の基礎研究を行った.直線水路に正方形キャビティゾーンを設けて,さらにワンドと低水路の開口部の閉塞率を可変とし、閉塞率とDO輸送の関係を定式化できた. また局所的なDOフラックスの評価を目指して,その準備段階として超極細光学DO計(備品購入)によって,DOの界面濃度境界層厚さの計測に成功した.また濃度輸送方程式を水深積分することで、境界層厚さを理論的に計算できた.野外観測して自然共生研究センターのワンドゾーンにて、DOおよび熱フラックスの計測を継続し、特に野外スケールと寺実験スケールのDO輸送を、無次元交換速度によって比較した.また河畔域の植生の総合管理として、植生林による水流への影響に関しても成果をまとめた.植生樹木の問題は環境面と防災面の双方で議論する必要があり、ここでは防災の立場から植生樹木密度と洪水流のエネルギー減衰の関係を予測する半理論式を開発した。 以上の研究の途中成果について、海外ジャーナルや国内学会等に掲載発表できた。以上よりおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでは基礎的研究がメインであった.今後の研究戦略としては、より現場の状況や特性を考慮したものへ発展させていきたい.実務に長けた分担者と協力して、現存するワンドの形状と開口部位置を整理分類して,実験条件に反映させていく.また土砂輸送にもフォーカスしワンド形状による土砂流入特性を明らかにする. 得られた個々のトピックの成果をカプリングする必要がある.分担者との連携をより密にして、情報シェアおよびエクスチェンジに努めていく。 DO輸送の主要な外的インパクトを組み込んだCFDシミュレータを開発して,永続的なワンド水域環境を可能とするデザイン指標を構築する.
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Research Products
(13 results)