2018 Fiscal Year Annual Research Report
Automated real-time stream-velocity/streamflow acquisition using fluvial acoustic tomography
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17H03313
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川西 澄 広島大学, 工学研究科, 准教授 (40144878)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 河川流量観測技術 / 音響トモグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
河川流量は、河川の水域・洪水水位を決定するとともに、様々な物質や熱量の運搬量を決定するので、正確な河川流量観測法を確立することは非常に重要である。本研究は、申請者らが世界に先駆けて開発に成功した河川音響トモグラフィーシステム(FATS)を用いて、省人力・低コストで恒久的にリアルタイム流量を自動観測できる技術の確立を目指している。 川幅の広い河川に加えて川幅の狭い中小河川でも、低水から洪水までのリアルタイム流量を、恒久的に自動連続観測できるシステムを実現するために、本年度実施した研究内容は以下の通りである。 ①昨年度に引き続いて、川幅110mの江の川尾関山地点と川幅60mの馬洗川南畠敷地点で計測データの遠隔監視を行いながら問題点の洗い出しと改良をハードウェアとソフトウェアの両面から行った。②観測可能な流量範囲の上限を拡張するため、洪水用により低い周波数(17 kHz)のシステムを製作し、そのテストを開始した。 なお、平成30年7月豪雨による洪水により馬洗川南畠敷地点に設置していたFATSが損傷したため、豪雨以後は馬洗川での観測が行えていない。 主な結果は次の通りである。平常時の川幅が110 mの江の川では30 kHz、川幅60mの馬洗川では53 kHzの超音波を用いた結果、それぞれ、0.5 mと0.3 m程度の浅い水深でも流量観測に問題は無く、高精度な低水流量観測が可能であった。ハードウェアとデータ処理ソフトウェアの改良を行った結果、江の川尾関山地点で観測できた最大流量は、昨年度の約650 m3/sに比べて大きく増加し、約950 m3/sであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
観測可能な最低水深は、主に超音波の波長によって決まることが明らかとなり、30 kHz、と53 kHzの超音波を用いた結果、それぞれ、0.5 mと0.3 m程度の浅い水深まで流量観測に問題は無く、高精度な低水流量観測を実現できた。30 kHzの超音波を用いて洪水時に観測できた最大流量は約950 m3/sであり、昨年度より大幅に観測流量の上限は拡張できた。増水時は減衰時より小さな流量でも欠測が生じる傾向にあることがわかった。欠測の原因は洪水時の大量の流下物による音波の伝播損失である可能性が高いと考えられたので、洪水時の欠測を防止するために、伝播損失の小さな低周波数の音波を用いる必要があることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、低水から中程度の出水までは自動で高精度な流量観測が可能になった。残された重要課題は大きな洪水を欠測なく観測することである。大きな洪水時に音波の伝播を妨げているのは大量の流下物の可能性が高いことがわかった。大量の流下物による音波の伝播損失を克服し大きな洪水流量を観測するため、本年度まで30kHz-FATSの改良を行ってきたが、洪水時の音波伝播に対する飛躍的な改善効果は得られなかった。洪水時には伝播損失の少ない低周波数の音波の使用が有効だと考えられたので、来年度は、新たに10~17 kHzの音波を用いて大きな洪水観測に挑戦する。
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Research Products
(6 results)