2017 Fiscal Year Annual Research Report
Urban degeneration management to autonomous regenerate from adult disease
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17H03319
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
谷口 守 筑波大学, システム情報系, 教授 (00212043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 綾子 筑波大学, システム情報系, 准教授 (80422195)
栗野 盛光 筑波大学, システム情報系, 准教授 (90732313)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 都市再生 / タウンドック / 進化 / スマートシティ / 集約 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)コンセプトの確立と理論体系構築:都市のコンパクト化、退化性能、マッチング理論、持続可能性などに関する幅広い既存研究の収集を行い、その体系化を進めた。 2)各種症例の整理:都市の成人病に関する最新の具体的症例を次の観点から網羅的に整理した。①肥満・メタボ:都市の構造的肥大化、②骨粗鬆症:都市の物理的空洞化、③がん:過剰開発連鎖、④慢性糖尿病:都市負荷・環境のアンバランス、⑤血行不良:地方壊死、⑥動脈硬化、息切れ:道路等インフラ劣化、⑦認知症:アパシー。その結果、整理の観点を現実の都市課題に合うように一部で見直した。 3)予防診断システムの考案:各種症例を配慮し、その予防診断システムを検討した。それぞれの症状に応じて開発の進むマーカーや評価指標を体系的に整理し、その可視化を行う。居住者個人のレベルまでさかのぼってその活動実態を検証し、活動格差指標を新たに検討対象として加えた。また、都市構造の可視化システムの開発を新たに進め、予防診断が誰にでも容易にできる仕組みの構築を開始した。 4)体質改善システムの提案:状況に応じた最適なサービス配置を柔軟に進める検討を進めた。特に自動運転やシェアリング(マッチング)経済の投入、ソーラー充電システムなどの導入も含めたオフグリッドシステムの評価など、都市の「生活習慣」に相当する面での自律的な改善にこれら新たな試みがどうつながるかの検証を進めた。さらにこれらのシステムがより有効に機能するよう、心理的方略に関する提案を多角的に検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は都市計画分野の研究としてスタートしたが、生き物から学ぶバイオミメティックスという着想が期せずして社会で広く着目されるタイミングとなった。このため、後ろの学会発表や備考の欄に記した通り、化学や博物館学など全くの他分野から本課題に関する複数の招待講演の機会などをいただき、その結果飛躍的に関連分野に関する交流や知識量が増えることとなった。また、それらとは別に本テーマに関する出版依頼もいただく状況となった。以上のことよりテーマとしての発展・応用可能性がこの1年間で各段に高まったと考え、上記の判断とした。
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Strategy for Future Research Activity |
それぞれのパートにおいて、以下のような推進方針に基づいて研究を進める。 1)各種症例の整理:昨年度作成したカルテ情報を研究成果に基づいて再整理し、都市の成人病に関する最新の具体的症例を次の観点から網羅的に整理する。この研究分野に対する社会的認知が十分でない状況であるため、成果をわかりやすく講評することに注力する。 2)予防診断システムの考案:対象地域を防災対応が必要となる脆弱な地域や中山間地域などの地方部にも拡張し、広域的な観点からコンパクト+ネットワークの観点に立脚して拠点間の相互補完まで踏まえた予防診断の実施を体系的に提案する。公的施設による既存の診断システムがもたらしている課題についてもあわせて指摘を行う。 3)体質改善システムの提案:減少社会における活動と施設の空間上での最適なマッチング関係を見直し、成熟環境に対応した地域間の協調と相互扶助の関係を反映し、症例に応じた対応策が示せるようにする。その中で、都市を構成する居住者ひとりひとりの活動格差の実態にも踏み込み、都市の構成における細胞レベルから退化マネジメントを可能にする道筋を示せるようにする。 4)自律的な治癒リハビリシステムの構築:昨年度の研究より単なる断片的なインフラ整備では治癒が自律的には十分進まないことが明らかとなった。このため、物的な環境整備だけではなく、心理的な状態改善にも重点を置き、そのことを通じてまち全体の健康度自体の改善につながるような仕組みの構築を目指す。
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Research Products
(29 results)