2017 Fiscal Year Annual Research Report
IoT技術の基盤となるDNAアプタマーを用いた網羅的水質センサの開発
Project/Area Number |
17H03328
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 久 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (80326636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽深 昭 中央大学, 理工学部, 助教 (30735353)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒ素(As)は人体に有害な金属の一つであるが,世界各地の土壌に存在するため地下水や表流水に広く検出される.Asの形態にはAs(III),As(V),有機態Asがあり,このうちAs(III)は最も毒性が高いと言われている.また,還元状態にある地下水中ではAsは主にAs(III)として存在する.本年度は,簡易As(III)分析法を開発することを試みた. 以下に簡易As(III)分析法の具体的な手順を示す.33 μLの10 mM MOPSバッファー中にArs-3(濃度100 nM)を5 μL添加し,これにサンプルを20 μL添加した.15分静置後,AuNPs溶液(平均粒径10 nm)を40 μL添加し,40分静置した.その後,3 M NaCl溶液を2 μL添加した.NaCl添加から20分後に吸収スペクトルを測定した. まずNaCl最終濃度とMOPSバッファーのpHを検討した.NaCl最終濃度が30 mMから90 mMの間でAs(III)の有無(100 μMおよび0 μM)における吸光度比の差が大きくなった.また,バッファーのpHが6.5から7.3に増加するにつれて検量線の傾きが増大したが,pH7.3以上では検量線の傾きが低下した.以上の結果より,NaCl最終濃度を60 mM,バッファーのpHを7.3と決定した.以上の条件で検量線を作成した.As(III)濃度が0 μMから0.5 μMに増加 するに従い600nmの吸光度と520nmの吸光度比(A600/A520)の値は増加し,As(III)濃度が0.5 μMより高濃度になると,A600/A520の値はほとんど変化しなかった.また,As(III)濃度が0.1 μMでは,サンプルごとの吸収スペクトルがばらつき,標準偏差が大きくなった.この検量線から検出限界値は0.14 μM(10.2 μg/L)と算出された.本法で地下水中のAs(III)濃度を測定した.本法で求めたAs(III)濃度は添加したAs(III)濃度と概ね一致することが明らかとなり,地下水中のAs(III)分析に本手法が適用できることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請時、一年目にはセンサ開発を行い、水質分析は二年目の中間までに終わらせる予定であったが、研究が予想以上に進展し、一年目で水質分析を終わらせることができたため、このように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに研究の進捗を早め、申請時の計画以上の結果を残せるように全力を尽くす。具体的には国内外の研究者と協力し、様々な環境サンプルに本法を適用し、本法の適用可能性を明らかにする。
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