2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of removal and immobilization technology of mercury in flue gas considering its environmental fate
Project/Area Number |
17H03335
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高岡 昌輝 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (80252485)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩田 憲司 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 技術専門職員 (50536563)
大下 和徹 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (90346081)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 水銀 / 活性炭 / 排ガス / 吸脱着 / 環境運命 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年8月に水銀に関する水俣条約が発効し、かつ2018年4月1日からは大気汚染防止法が改正され、新たに水銀に関する排ガス規制が実施されている。このような背景を受け、本研究は、人為的発生源からの水銀の大気排出を単に削減するだけでなく、吸着剤へ安定的に固定化し、最終処分場からの環境中への再放出が限りなく小さくできるよう環境運命を考慮した排ガス中水銀の総合的な除去・固定化技術を開発するものである。 2017年度は、塩素、硫黄を担持した活性炭吸着剤の吸着メカニズムを明らかにすべく、金属水銀ガスの吸着除去実験を実施した。また、吸着した水銀の化学形態について、水銀及び共存する塩素、硫黄のX線吸収端近傍構造(XANES)を測定し、吸着前後における変化などを調べることによって明らかにした。硫黄の価数による水銀除去傾向の違いがみられたが、今後の詳細な検討が必要と考えられた。さらに、吸着時の水銀の化学形態について、熱脱着させることにより調べる方法についても試みた。このためには、実際のプラントで長期間除去実験に活性炭を供試し、その後、実験室にて脱着傾向を測定することを試みた。吸着水銀量が多くはなかったことから脱着挙動は明確ではなかったが、温度とともに脱着水銀が異なることがわかった。残留活性炭中の水銀の化学形態は120℃、240℃加熱でも変わらず、黒色硫化水銀と塩化第一水銀がほぼ50%程度で含まれているとXANESより推測された。脱着前後の水銀の溶出性については、いずれも極めて低く、吸着固定されている水銀は極めて安定であることがわかった。また、その差は小さいが脱着後活性炭からの水銀溶出がさらに抑えられていることから、加熱により水溶性の水銀が揮発していると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
塩化第二水銀の発生については検討を要するが、他は順調であり、一部は先行して実施している。
|
Strategy for Future Research Activity |
担持活性炭の高機能化に関して、これまでのCl、Sだけではない元素について製造する。改良された担持活性炭を用いて、吸着実験を実施する。 大型放射光でのXAFS分析はビームタイムが確保して、これまで作成できたサンプルについて分析を行う。活性炭中の水銀、塩素、硫黄、その他の元素の化学状態をXAFS分析により明らかにする。一部のサンプルは下記で述べる脱着実験後のサンプルも分析し、脱着・回収機構についての知見も得る。脱着・回収実験については、まずは温度によりどの程度脱着するかを調べる。活性炭量(水銀量)の関係から、この脱着実験については、自治体等で用いられている活性炭吸着塔での使用済み(使用中)活性炭を入手し、実験に供する。脱着においては温度、雰囲気ガスなどのパラメータを変化させて実施し、脱着時の水銀のマスバランスを把握する。 実際には水銀吸着し終えた活性炭はそのまま廃棄され、埋立処分されるか、あるいは上記の脱着・回収プロセスにより水銀回収されることになる。ここでは、最終処分する廃棄物の観点から脱着前の活性炭を、回収の観点から脱着後の活性炭からの水銀の溶出特性を調べる。溶出性は水銀の化学種の特定にも重要な知見をもたらす。溶出試験としては廃棄物としての判断が重要であることから環告13号試験に準拠した方法での実施を基本として実施する。
|
Research Products
(3 results)