2017 Fiscal Year Annual Research Report
中山間・島嶼地域における新たな運営主体による高齢者通所介護施設整備の展開可能性
Project/Area Number |
17H03362
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中園 眞人 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (60164208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 幸子 筑波大学, システム情報系, 准教授 (30509526)
牛島 朗 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (40625943)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高齢者福祉 / 高齢者通所介護施設 / 要介護認定者 / 社会福祉法人 / 社会福祉協議会 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)過疎地域における地域コミュニティ持続のための地域計画単位となるエリア設定:明治の町村合併後の自治体区分を分析単位エリアに設定し、公益施設と生活利便施設の立地データを取集し、拠点集落における生活関連施設の集積度の比較を行った。 (2)高齢者福祉需要の推計:全国の年齢階級別要介護度別高齢者数の実績データを用い、経年変動を考慮した年齢階級別要介護者率を算定し、これを山口県の年齢階級別高齢者人口の実績値と将来推計人口に乗じ、要介護認定者数を推計した。この要介護認定者数と施設の定員数・利用者数を比較し、地域的なサービス水準を比較した。 (3)高齢者福祉施設のデータベース構築:通所系(デイサービス、小規模多機能型デイサービス、デイケア)施設と通所介護施設利用者数に影響する入所系(特養・養護・軽費・有料老人ホーム、グループホーム、)施設に関する施設毎のデータ収集を行い、山口県全域のデータベースを構築した。 (4)高齢者福祉施設整備の地域的特徴と充足率・利用率の分析:高齢者通所介護施設の整備タイプは4タイプに区分される。①県北部山間地域(社会福祉法人主体型)②萩地域(社会福祉事業団+社会福祉法人型)③長門・下関北部地域・平生町(社会福祉協議会独自運営主体型)④周防大島地域(社会福祉法人+社会福祉協議会受託運営型)。これらの地域を対象に、社会福祉法人・社協運営の通所介護施設の建築概要と施設利用者情報収集調査を行い、通所系・入所系施設毎に充足率(施設定員/要介護認定者数)と利用率(施設利用者数/要介護認定者数)を算定し、充足率・利用率の評価を行い、高齢者通所介護施設の地域的な整備タイプの相違性について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究計画については、(1)過疎地域における地域コミュニティ持続のための地域計画単位となるエリア設定、(2)高齢者福祉需要の推計、(3)高齢者福祉施設のデータベース構築、(4)高齢者福祉施設整備の地域的特徴と充足率・利用率の分析 の4項目共に、概ね計画通り調査、データベース構築、分析作業を行うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は運営主体に着目した施設整備と地域マネージメントの先進事例分析を行う計画である。具体的には、社会福祉協議会・社会福祉法人・医療法人・NPOによる高齢者福祉施設の設立経緯、運営方式及び施設の利用状況に関する先進事例調査を実施する。 平成31年度は専用施設新設型と既存施設活用型の通所介護施設の空間用途構成と使われ方の比較分析を行う計画である。具体的には、(1)専用施設新設型:30例(2)民家・店舗活用型:20例(3)公共施設併設・借用型:10例を対象に、①施設の平面構成と家具配置調査、②1日の使われ方調査を行い、その分析結果をもとに専用施設(施設定員毎に区分)と既存施設活用事例(民家とその他の施設に区分)の空間用途構成を比較し、既存施設活用型施設の空間用途構成の特徴と通所介護施設としての空間機能評価を行う。以上の分析作業により、施設定員に対応した既存建築(規模・平面構成)の選択指針及び通所介護施設への改修指針が得られるものと考える。 平成32年度は新たな運営主体による高齢者福祉施設整備と広域マネージメントの展開可能性に関する理論的・実証的検討を行う計画である。社会福祉事業団・社会福祉協議会・サテライト型施設運営を行う社会福祉法人による、中山間・島嶼地域における高齢者通所介護事業の取組みに関し、施設の立地圏域と地域コミュニティ計画エリアとの関係を整理すると共に、運営組織による施設立地圏域における通所介護需要カバー率を算定し、地域における貢献度を定量化する。またヒアリング調査により、新たな運営主体による広域マネージメントの展開可能性に関し理論的・実証的検討を行う。さらに既存施設活用型の通所介護施設の使われ方の分析結果をもとに、過疎地域における既存建築を活用した施設整備の可能性と、施設の選択指針及び空間用途構成の観点からの改修指針を整理する。
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