2019 Fiscal Year Annual Research Report
中山間・島嶼地域における新たな運営主体による高齢者通所介護施設整備の展開可能性
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17H03362
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中園 眞人 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (60164208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛島 朗 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (40625943)
三島 幸子 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (50803277)
佐藤 知子 (大庭知子) 九州産業大学, 建築都市工学部, 助手 (90823823)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高齢者通所介護施設 / 過疎地域 / 運営主体 |
Outline of Annual Research Achievements |
専用施設型(25例)を対象に、機能訓練室のコーナー配置分析を行い、食事・機能訓練が同一領域で行われるLT系列と、空間領域を区分するL+T系列に区分した。LT系列施設が主要タイプで、特に小規模施設ではMW型の平面構成が多く、Mw型を含め FTN+N 型コーナー配置が主流な亊、L+T系列施設では、食事と機能訓練の空間用途分化及び自由行動の場の選択枝が担保された、FL+FTN型やFL+FT+N型のコーナー配置事例が存在し、主室の有効なコーナー設定手法である亊を示した。 専用中規模施設(10例)を対象に、主室のコーナー配置分析を行い、(1)90~120㎡の場合、食事と機能訓練のコーナーを分離し、機能訓練と午睡の場を兼用するFL+FTN型コーナー配置では、利用者の居場所の選択肢と利用者の待ちの場が確保され、午睡時には囲み型配置のソファに加え床面も午睡の場とし、FTコーナーの面積確保が可能な亊、(2)150~200㎡の場合、機能訓練と午睡コーナーを分離したFL+FT+N型コーナー配置とすれば、利用者の居場所の選択肢確保、職員の準備始末先行型の作業手順と利用者の待ちの場の確保が可能な亊、(3)200~250㎡の場合、FLとFTコーナーの中間の位置に寛ぎコーナー(E)を設けた3コーナー構成のFL+E+FT+N型コーナー配置とすれば、自由時間や準備待ちのスペースとして有効に機能することを示した。 民家・店舗活用型(3例)を対象に、台所と連続する茶の間或いは続き間座敷を一体的に改修又は活用することにより、食堂兼機能訓練室とさらに機能訓練室を1室確保可能な場合には、2領域の空間用途構成により職員による先行的準備始末作業が成立し、円滑な施設運営が期待される事を示した。 この分析結果をもとに専用・既存施設活用事例を比較し、施設定員に対応した既存建築の選択指針と通所介護施設への改修指針を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R1年度は,専用施設型(25例)を対象に、機能訓練室のコーナー配置分析を行い、食事・機能訓練が同一領域で行われるLT系列と、空間領域を区分するL+T系列に区分した。LT系列施設が主要タイプで、特に小規模施設ではMW型の平面構成が多く、Mw型を含め FTN+N 型コーナー配置が主流な亊、L+T系列施設では、食事と機能訓練の空間用途分化及び自由行動の場の選択枝が担保された、FL+FTN型やFL+FT+N型のコーナー配置事例が存在し、主室の有効なコーナー設定手法である亊を示した。 専用中規模施設(10例)を対象に、主室のコーナー配置分析を行い、(1)90~120㎡の場合、食事と機能訓練のコーナーを分離し、機能訓練と午睡の場を兼用するFL+FTN型コーナー配置では、利用者の居場所の選択肢と利用者の待ちの場が確保され、午睡時には囲み型配置のソファに加え床面も午睡の場とし、FTコーナーの面積確保が可能な亊、(2)150~200㎡の場合、機能訓練と午睡コーナーを分離したFL+FT+N型コーナー配置とすれば、利用者の居場所の選択肢確保、職員の準備始末先行型の作業手順と利用者の待ちの場の確保が可能な亊、(3)200~250㎡の場合、FLとFTコーナーの中間の位置に寛ぎコーナー(E)を設けた3コーナー構成のFL+E+FT+N型コーナー配置とすれば、自由時間や準備待ちのスペースとして有効に機能することを示した。 民家・店舗活用型(3例)を対象に、台所と連続する茶の間或いは続き間座敷を一体的に改修又は活用することにより、食堂兼機能訓練室とさらに機能訓練室を1室確保可能な場合には、2領域の空間用途構成により職員による先行的準備始末作業が成立し、円滑な施設運営が期待される事を示した。 以上より、民家活用型施設の事例収集が予定よりも若干少ないものの、当初の研究計画は概ね達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
R2年度:新たな運営主体による高齢者福祉施設整備と広域マネージメントの展開可能性に関する理論的・実証的検討: 運営主体に着目した高齢者福祉施設整備と地域マネージメントの先進事例分析の結果をもとに、本研究で新たな運営主体として位置付ける社会福祉事業団・社会福祉協議会・町全域でサテライト型施設運営を行う社会福祉法人による中山間・島嶼地域における高齢者通所介護事業の取組みに関し、施設の立地圏域と旧町村を単位とする地域コミュニティ計画エリアとの関係を整理すると共に、運営組織による施設立地圏域における通所介護需要カバー率を算定し、地域における貢献度を定量化する。また社会福祉法人による特養併設施設等の既存施設との連携と役割分担の現状と課題及び将来的方向性に関するヒアリング調査を行い、新たな運営主体による広域マネージメントの展開可能性に関し、特定非営利法人・農業協同組合の位置付けを含め理論的・実証的検討を行う。さらに既存施設活用型の通所介護施設の空間用途構成と使われ方の分析結果をもとに、過疎地域における既存建築を活用した施設整備の可能性と、既存建築を通所介護施設に転用する場合の選択指針及び空間用途構成の観点からの改修指針を整理する。
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