2018 Fiscal Year Annual Research Report
鉄基合金単結晶の巨大逆磁歪効果―発現機構解明と振動発電デバイスへの応用―
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17H03374
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤枝 俊 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (60551893)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 磁性・電子・情報材料 / 磁区構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
逆磁歪効果を利用した振動発電は、身の回りの振動を電気エネルギーに変換する革新的なエネルギーハーベスティング技術として期待される。本研究では、Fe-Ga合金単結晶の逆磁歪効果を利用した振動発電デバイスの優れた発電特性の発現機構を明確にすることを目的とする。振動発電デバイスは、フレームにFe-Ga合金単結晶を貼り付けた状態でコイルを巻き付け、永久磁石でバイアス磁場を印加する構造になっている。デバイスの振動によりFe-Ga合金単結晶が圧縮されたり引張られたりすると、逆磁歪効果により磁区構造が変化し、それに伴いコイルを貫く磁束が大きく変化するため、電磁誘導により誘導起電力が得られる。昨年度は、応力印加装置を設置したKerr効果顕微鏡を用いたその場観察により、印加磁場無しの状態のFe-Ga合金単結晶の磁区構造におよぼす応力印加の影響を明らかにした。本年度は、一定の磁場を印加した状態の磁区構造におよぼす応力印加の影響を調べた。 磁場および応力の印加無しの状態において、Fe-Ga合金単結晶の{001}面の磁区構造は、面内の4つの<100>方向を磁化方向とする磁区および階段状の180°磁壁と直線的な90°磁壁で構成される。そのような磁区構造に、印加磁場無しで<010>方向と平行に圧縮応力を印加すると90°磁壁は消失して、圧縮方向と垂直の<100>方向を磁化方向とする磁区および直線的な180°磁壁で構成された縞状磁区が形成される。一方、<010>方向と平行に磁場を印加すると階段状の180°磁壁のみが移動および消失して90°磁壁のみで構成された縞状磁区となる。その状態で圧縮応力を印加すると、印加磁場無しの際とは異なり、圧縮方向と垂直の<100>方向を磁化方向とする単磁区状態が観測された。Fe-Ga合金単結晶の磁区構造の磁場および応力の印加による特徴的変化が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
磁場および応力を印加した状態での磁区構造のその場観察に成功し、優れた発電特性の発現機構の明確に繋がる重要な知見を得た。この成果に基づいて、磁区構造と優れた発電特性の関係を考察する。
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Strategy for Future Research Activity |
Faraday効果を利用した高感度磁場センサーを用いて振動発電デバイスに搭載した状態のFe-Ga合金単結晶の磁区観察を行う。
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Research Products
(14 results)