2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H03399
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
池田 輝之 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (40314421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鵜殿 治彦 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (10282279)
永野 隆敏 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 講師 (70343621)
篠嶋 妥 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (80187137)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フェーズフィールド法 / 粒子法 / ドーピング / 熱伝達係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
孔が一方向にならんだ「ロータス型」多孔質シリコンの作製を目的に,水素雰囲気中で一方向凝固実験を行った.その結果,液体状態,固体状態におけるシリコンの水素の溶解度の差により,水素の孔が凝固方向にのびた多孔質シリコンの作製に成功した. 多孔質シリコンを熱電材料として使用する場合は,キャリアチャージのためドーピングが必要である.添加元素としてホウ素を選定し同様の実験を行ったところ,孔の形成に対するホウ素の影響は小さいことが明らかになった. このようにして作製した多孔質シリコンは,固溶水素を含んでいると考えられる.固溶水素量を調べたところ,水素のない雰囲気で一方向凝固させた試料に比べ有意に高い固溶濃度を示した.しかし,この水素は真空排気をしながらアニールすることにより水素のない雰囲気で一方向凝固した試料と同じレベルまで,濃度を低減することが可能であること,さらに,このアニールをしない場合でも電気的な特性 (キャリア密度,電気伝導率) は,水素のない雰囲気で一方向凝固した試料と同程度であることが明らかになった. また,フェーズフィールド法計算機シミュレーションにより,水素雰囲気下一方向凝固における一方向にポアが伸びた多孔質金属 (ロータス型ポーラス金属) の作製を再現することに成功した. また,粒子法シミュレーションにより,多孔質シリコン中に熱流体を流した熱電変換デバイスの温度分布を計算した.その結果,無垢の試料に比べ,孔の存在により大きい温度勾配が生じることが確認された.すなわち,多孔質化により,大きい温度差,ひいてはゼーベック効果による大きい電圧を得ることが可能であることを確認できた.さらにこのシミュレーションにより実効熱伝達係数を評価する方法を確立した.この結果,多孔質化により比表面積が大きくなった多孔質シリコンでは,無垢シリコンにくらべ実効熱伝達係数が大きいことが定量的に示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
どの研究項目についても,計画通りに実験および計算が進捗し,順調に成果が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
作製した多孔質シリコンの熱電特性の詳細の把握,フェーズフィールド法を援用した孔の伸びに関する知見の獲得,多孔質シリコンを使用した熱電変換デバイスの作製に向けた技術的課題の一つである金属電極と多孔質シリコンの接合技術の獲得ならびに界面の性質の調査を進める.
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Research Products
(6 results)