2018 Fiscal Year Annual Research Report
磁性ナノクラスター流体のレオロジカルな刺激応答化とソフト・ロボティックスへの展開
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17H03404
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿部 浩也 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (50346136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 武士 大分大学, 理工学部, 准教授 (10372137)
名嘉 節 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主席研究員 (30344089)
鈴木 義和 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (40357281)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 磁気粘性効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新しい磁気粘性(MR)流体の開発に取り組む。MR流体とは磁性粒子が分散した流体材料であり、磁場強度に応じてレオロジー特性が可逆に変化する。MR流体のレオロジカルな刺激応答性は、人の力触感を伝える装置や人間共存型ロボットなどのソフト・ロボティックスに応用できると期待されている。この磁性粒子に求められる機能として、磁場下では磁場配向して粒子鎖を形成できること、一方無磁場に戻すと磁化が緩和して再分散できることである。本研究では、これらの条件を満足する粒子として磁性ナノ粒子が接合・集積した構造体(磁性ナノクラスター粒子)に着目し、その合成法の確立、流体化プロセス手法の開発、およびその応用等を進めている。 本年度は申請者らの2017年度の結果に基づいて、磁性ナノクラスター粒子の効率的な合成技術の開発を進めた。MR流体の調製には、大量の磁性ナノクラスター粒子が必要なためである。その結果、還元溶媒中での溶解・還元析出反応を原理とするシンプルでスケーラブルな合成技術を新たに開発した。この方法によって、酸化物磁性体であるマグネタイトの磁性ナノクラスター粒子を合成した。この磁性ナノクラスター粒子は単分散性の高い球状構造体であり、その内部はナノ粒子が結晶方位を揃えて接合・集積したメソクリスタル構造であった。磁性ナノクラスター粒子を液中分散したコロイド分散系にMR効果が観察された。次年度は、磁性ナノクラスターの構造制御を行うとともに、MR効果の増大を目的に、高濃度分散技術等を開発する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度の研究成果に基づいて磁性ナノクラスター粒子の大量合成法の開発を進めた。溶解と還元析出というシンプルな原理により、球状マグネタイト磁性ナノクラスター粒子のスケーラブルな合成技術を新たに開発したこと、また磁性ナノクラスター粒子の液中分散系にMR効果が観察されたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
磁性ナノクラスター粒子の一次および二次構造制御を行うとともに、MR効果に好適な磁性ナノクラスター構造を明らかにする。また、MR効果の増大等を目的に、高濃度分散技術等を開発する。さらに、磁性ナノクラスターの応用については、MR流体以外への可能性も調べる予定である。
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Research Products
(10 results)