2017 Fiscal Year Annual Research Report
Controlling of crystal orientation of constituent phases in Nb-TiNi alloys and their hydrogen permeability
| Project/Area Number |
17H03408
|
|---|
| Research Institution | Kanazawa University |
|---|
Principal Investigator |
石川 和宏 金沢大学, 機械工学系, 教授 (10312448)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 晃彦 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 放射光科学研究センター, 上席研究員(定常) (70354983)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
| Keywords | 水素透過 / 組織制御 / 結晶方位 / 圧延・熱処理 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、水素透過合金として期待されているNb-TiNi合金の水素透過性と微細組織の関係を、組織形態、２相間の結晶方位関係、水素拡散方位の観点から明らかにすることを目的としている。本合金はNb相とTiNi相から成る２相合金であるため、層状、粒状、繊維状などの形態が変化すると水素透過性が変わることが予想される。また、両相の方位関係により形成される相境界の構造が変わり、水素の拡散に影響を及ぼすことが考えられる。
Nb19Ti40Ni41合金は鋳造状態でNb相とTiNi相から成る層状組織を形成し、比較的高い水素透過度を示す。この合金に圧延を施した後に熱処理すると、層状組織が破壊されNb相がTiNi相中に析出した塊状組織に変化する。この合金の水素透過度は大きく低下するが、複合則から予測される透過度とほぼ一致した。一方、圧延を施さずに熱処理した合金は、圧延・熱処理材と同様に粒状組織に変化したが、水素透過度は圧延・熱処理材と比較して４倍程度高く、類似した組織を形成しているにもかかわらず水素透過度に大きな差が観察された。
これら合金におけるNb相とTiNi相の方位関係をEBSDによって調べたところ、鋳造材では両相がcube-on-cubeの関係にあることが分かった。また、熱処理材の塊状組織においても同様の関係が見られた。一方、圧延を施した試料では、Nb相とTiNi相の方位関係がランダムな状態に変化していることが分かった。以上より、圧延の有無により両相の方位関係が変わり、水素の拡散特性に影響を与えることが分かった。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
装置の修理のため半年程度水素透過試験を実施できなかったが、水素透過試験を要しない研究、例えば、熱処理条件と組織変化の関係性解明、放射光Ｘ線回折測定に関する研究が順調に進んだ。装置の修理完了後には、あらかじめ準備していた試料の水素透過試験に取り組み、水素透過性と組織の関係を理解することができた。
|
| Strategy for Future Research Activity |
来年度は下記研究項目を実施する予定である。
○熱処理条件と微細組織の関係：本合金は鋳造状態で層状組織を形成するが、圧延および熱処理により塊状化するが、その条件によって結晶粒径や方位関係が異なると考えられる。種々の条件で熱処理した合金の微細組織と水素透過性の関係を調べ、最適な圧延・熱処理条件を見出す。
○放射光Ｘ線回折測定：SPring-8にて高温高圧水素環境下における構造変化を詳細に測定する。微細組織と水素化過程の関係を明らかにする。
|
