2018 Fiscal Year Annual Research Report
Design and microstructure control of aluminum based superalloys based on thermodynamic calculation
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17H03411
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高田 尚記 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (70432523)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アルミニウム合金 / 時効析出 / 金属間化合物 / 高温強度 / 耐熱材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,Al-Mg-Zn 3元系の熱力学データベースを用いた計算状態図を基に,T相/α-Al二相組織を有するAl-4Mg-4.5Zn(at%)合金,Al-5Mg-3.5Zn(at%)合金,及び Al-7Mg-1.5Zn(at%)の合金組成を選定した.これらの合金を実際に溶製し,最適な溶体化熱処理条件(480℃/24時間)を同定した.これらの作製した試料を用いて,200℃から300℃の温度範囲において,1時間から1000時間までの時効処理(温度保持)を施し,それらの組織解析を行い,高温保持に伴う組織変化を調べた.その結果,いずれの合金も比較的短時間の時効で硬さの最大値を示し,長時間時効後強度が低下する.これは短時間側では析出物が比較的微細かつ緻密に析出するが,長時間時効に伴って析出物が粗大化することに起因する特に,Mg濃度の高いAl-7Mg-1.5Zn合金の硬さは時効処理に伴いそれほど増大しないが,300℃において長時間時効後も比較的高い値を維持する.したがって,Al-7Mg-1.5Zn合金が,高温かつ長時間の使用後においても強度を損なわない. また,昨年度設計したAl-5Mg-3.5Zn(at%)合金の組織の透過電子顕微鏡観察と高温強度を調査した.溶体化処理後300℃時効を施すと,α-Al母相からT-Al6Mg11Zn11相が析出する.200℃にて1時間の時効後,粒子径約20 nmの非常に微細な化合物相が結晶粒内に均一に分散する.この析出相はT相の準安定相であると推察される.200℃/1h予時効を施した本合金は150℃から200℃の温度域で高い0.2%耐力(250 ~ 350 MPa)を示した.この強度レベルは,現状自動車用ターボチャージャーのインペラに適用されている2618合金や同じ成分系の高強度材である7075合金を凌ぐものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の成果にて,本研究の目標である自動車用ターボチャージャーのインペラに適用されている2618合金より実機使用想定温度である200℃において高い強度を示す新たな合金の設計が実現した.今後は,その合金の鍛造などの製造プロセスの検討を含め,本合金の生産性を高める研究も行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,本研究で設計した合金(Al-5Mg-3.5Zn(at%))の鍛造などの製造プロセスの検討を含め,本合金の生産性を高める研究も行う予定である.また,長時間高温使用に要求されるクリープ強度など,本設計合金の他の物性の調査にも取り組む
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Research Products
(11 results)