2018 Fiscal Year Annual Research Report
非等量配合高エントロピー合金における結晶粒超微細化と変形挙動の解明
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17H03415
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安田 弘行 大阪大学, 工学研究科, 教授 (60294021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
趙 研 大阪大学, 工学研究科, 助教 (00633661)
永瀬 丈嗣 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 准教授 (50362661)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 構造・機能材料 / 社会基盤構造材料 / ハイエントロピー合金 / 転位 / 格子欠陥 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、fcc系ハイエントロピー合金のさらなる組織の微細化を達成するため、最適組成、最適加工熱処理条件の探索を行った。その過程で、AlxCoCrFeNi系とCoCrFeNiMn系の両者の特徴を併せ持つAlxCoCr1+yFeNi1-yMn合金の結晶粒微細化について、特に調査を実施した。その結果、AlxCoCr1+yFeNi1-yMn合金では、NiAl相とシグマ相が両方析出することが確認され、AlxCoCrFeNi、CoCrFeNiMn両合金の特徴を併せ持つことが確認された。さらに、NiAl相、シグマ相いずれも結晶粒界を優先核生成サイトとして析出するとともに、特に、加工熱処理時には高速で析出し、効果的に粒成長を抑制することで、これまで以上の結晶粒微細化が達成された。さらに、粒径が1マイクロメートル以下の結晶粒微細化に伴って高強度化も達成されたが、想定よりも析出物の体積率が過剰であったため、室温伸びは減少した。特に、析出物の体積率が過剰な場合は、冷間圧延すら不可能であった。なお、析出物の体積率および形態は、化学組成(x,y)に強く依存した。したがって、今後は化学組成のさらなる最適化による体積率の制御が重要となる。さらに、変形機構については、変形双晶等が観察され、積層欠陥エネルギーの低い合金の特徴を有していることが分かった。また、室温における降伏応力はホール・ペッチ則に従っていたが、析出物の体積率が高い場合、ホール・ペッチ係数が増加した。特に、シグマ相が析出する場合に、ホール・ペッチ係数の増加が確認されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたAlxCoCrFeNi系、CoCrFeNiMn系のみならず、両者の複合した合金系であるAlCoCrFeNiMn系でも結晶粒微細化を達成できることを確認したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、積層欠陥エネルギーの低いハイエントロピー合金特有の双晶誘起塑性に注目し、その温度依存性、歪量依存性、粒径依存性等を明らかにするとともに、同現象を有効活用することで、高強度を維持しつつ、高延性化を達成する。
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Research Products
(1 results)