2017 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of multi-functional soft materials by introducing plural interaction units
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17H03416
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 浩靖 大阪大学, 理学研究科, 教授 (00314352)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ソフトマテリアル / 非共有結合 / 超分子錯体 / 水素結合 / 配位結合 / 架橋構造 / 力学特性 / 刺激応答性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では複数の非共有結合因子を導入した、様々な応力に耐えうる柔らかくて壊れにくい高分子材料を創製する。その分子設計として下記の3つの要素を導入した機能性高分子材料システムを構築する。その3要素は、[1]家屋の耐震構造に学ぶ筋交い型構造ユニット、[2]振動を吸収し得るダンパー的構造ユニット、[3]ポリマーネットワーク構造の強度を補強するような添加物である。これらの機械的な高分子鎖間の連結により新たな機能性超分子材料システムを構築することを目的としている。 本年度は、長鎖アルキルカルボン酸を側鎖に有するポリマーとアルキル鎖が貫通できる空洞を持った環状化合物を有するポリマーを合成した。これらを混合した後、カルシウムイオンを添加することでゲルを形成させ、2種類のポリマーが「擬ロタキサン」構造を形成した状態で、カルシウムイオンがポリマー側鎖を連結することにより「カテナン」構造を有する超分子材料を合成することができた。その際に、長鎖アルキルカルボン酸を側鎖に有するポリマーのみの水溶液にカルシウムイオンを添加したときもポリマーネットワーク構造体が生成し、ゲル状になることを見出した。 さらに、ABA型ブロックポリマー末端にウレイドピリミジノン(UPy)と2,2’-ビピリジン(bpy)を組み込み、Upyの四点水素結合形成と、bpyと遷移金属イオンとのキレート錯体形成を利用した超分子材料合成を行った。この超分子材料の力学特性、外部刺激応答性、自己修復性、形状記憶性などの機能について評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、ホスト-ゲスト相互作用と配位結合による超分子材料、並びに水素結合とキレート錯体形成を利用した超分子材料合成を行うことができた。この超分子材料の力学特性解析が完了しており、順調に材料創製ができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に合成した材料はホスト-ゲスト相互作用と配位結合を導入した系であるが、この系に疎水性相互作用ユニットを導入することで高分子間に働く力をさらに強め、これまでのゲルとは異なる物性が得られると考えた。今後、下記のような「ダンパー」型構造ユニットを導入した高分子材料の合成を行う。水系で強く働く相互作用、π-π相互作用や疎水性相互作用を活用する。これらの相互作用が特定の2種類の化合物間で働くような分子設計を行う。ここでは、電荷移動錯体形成を利用する。電子ドナーと電子アクセプターをそれぞれ高分子側鎖に導入した線状高分子を合成し、この2種ユニットをポリマーに導入すると、側鎖間で電荷移動錯体が形成されると予想される。この錯体形成が複数箇所で起こることにより高分子鎖が架橋されることになる。低分子系の電荷移動錯体の会合定数は大きくないが、水溶性ポリマーによって水の中に分散された状態の電子ドナーと電子アクセプターの間の相互作用は、多点相互作用により低分子系の会合定数よりも大きくなると考えられる。電荷移動錯体形成により生じる新たな吸収帯をモニターすることで架橋点の情報を得る。
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Research Products
(30 results)