2018 Fiscal Year Annual Research Report
ynthesis of supported alloy nanoparticle possesses controllable hierarchical structure and application to selective catalytic molecular transform
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17H03459
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
宍戸 哲也 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (80294536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 大樹 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (20633267)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 合金クラスタ / 触媒機能 / 階層構造 / 担持合金触媒 / 局所構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
PdAu合金クラスターが炭酸水素アンモニウムからの水素生成反応に有効であること、また、重炭酸塩の水素化に対しても有効なことを見出し報告した(ACS Sustainable Chem. Eng. 2019, 7, 6522-6530.).活性は、Pd/Au比に強く依存すること,構造解析の結果、Auに囲まれた電子不足な孤立Pd種が優れた活性を示すことを明らかとした。また、担体である活性炭にNを導入し、電子供与基が活性に与える影響について検討を進めた。速度論的検討を元に詳細な反応機構を提案した。 同様にアンモニアボランのメタノリシスによる水素生成について検討を行い。炭酸水素アンモニウムからの水素生成についても活性は、Pd/Au比に強く依存し,Auに囲まれた電子不足な孤立Pd種が優れた活性を示すことを明らかとした。 ハロゲン化アリールとヒドロシランのカップリングによるアリールシラン合成について担持PdAu合金触媒が,塩化アリールを用いた場合に対応するアリールシランを選択的に与えることを見出した.さらに,担持PdAu合金触媒を用いることでジインとアレンの付加環化反応が効率的に進行し、置換ベンゼン誘導体が得られることを見出した. さらに,Au触媒の表面を極少量の金属で修飾した階層的な構造を有する触媒を種々調製し、これらを用いて内部アルキンのヒドロシリル化を検討したところ、極少量のNi種で修飾した活性炭担持NiAu触媒が、反応を効率的に進行させることを見出した。Ni単独の触媒は、ほとんど活性を示さなかったことから、AuとNiの複合化が本反応の効率的な進行に有効であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
担持PdAu合金クラスター触媒が複数の水素キャリア(炭酸水素アンモニウム、ギ酸、アンモニアボラン)からの水素生成に有効であることを見出し報告した(ACS Sustainable Chem. Eng. 2019, 7, 6522-6530.).いずれの場合にもAuに囲まれた電子不足な孤立Pd種が優れた活性を示すことを明らかとした。これは、合金化による局所構造の変化が、特異な触媒機能を実現する上で有効な手段であることを示している。この結果は、これまで検討を進めてきたヒドロシリル化、[2+2+2]付加環化反応に有効な活性サイトと同じ傾向であることは興味深い。一方、新たな反応系としてハロゲン化アリールとヒドロシランのカップリングによるアリールシラン合成について担持PdAu合金触媒が,塩化アリールを用いた場合に対応するアリールシランを選択的に与えることを見出した.さらに,担持PdAu合金触媒を用いることでジインとアレンの付加環化反応が効率的に進行し、置換ベンゼン誘導体が得られることを見出した.さらに,Au触媒の表面を極少量の金属で修飾した階層的な構造を有する触媒を種々調製し、これらを用いて内部アルキンのヒドロシリル化を検討したところ、極少量のNi種で修飾した活性炭担持NiAu触媒が、反応を効率的に進行させることを見出した。Ni単独の触媒は、ほとんど活性を示さなかったことから、AuとNiの複合化が本反応の効率的な進行に有効であることが分かった。 これらの系では、隣接する元素が協奏的な機能を発揮していることを反応機構の観点から明らかとした。これらの結果は、 局所構造、階層構造の制御が活性を制御する重要な因子であることを示しており、この様な作業仮説のさらなる展開が期待できる。これらのことから概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで検討を進めてきたPdAu合金クラスタの合成法をベースに引き続きPd系合金を中心に第二成分金属とその比率を変化させた合金クラスタを合成し,第二成分金属元素のサイズ,電気陰性度を含む物性が合金クラスタの構造・電子状態・触媒機能に与える影響を系統的に検討する.また、引き続きコア構造をAu(あるいはPd)とし,シェル構造をPdAu合金とする,あるいは,遷移金属クラスタをコア構造に導入し,シェル層のみPdAu合金とするなど,階層的構造を有する合金クラスタを合成し,コアの電子状態・構造が合金クラスタの電子状態・構造ならびに物性に与える影響を検討する.また、本年度見出したAu上に修飾したNiの状態と活性の相関についてさらに検討を進める。合わせて、合金触媒を用いて酸化的アセトキシル化など、新たな反応系への展開を図る. 合わせて,固体表面の物性(酸塩基性・酸化還元特性)と合金クラスタの協奏的な機能や,両者の界面における電子状態の変化について検討を進め、さらにメタン等低級アルカンの部分酸化および非可食性バイオマス由来の化合物(グリセロール,乳酸,ヒドロキシ酸,単糖類等)を必須化成品に変換する水酸基の選択酸化や水素化(分解)を対象として検討を進める.
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