2018 Fiscal Year Annual Research Report
自然エネルギー(光・熱)で機能する光触媒の創製と連続的高難度物質変換
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17H03462
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
古南 博 近畿大学, 理工学部, 教授 (00257966)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
可視光応答型光触媒を物質変換(有用な物質の合成)に適用した研究は、水分解や環境応用研究と比べると非常に少ない。本研究では、a)高難度選択的物質変換【部分酸化、部分水素化、化学選択的反応、ジアステレオ選択反応】、b)自然エネルギー(光・熱)の利用【可視光応答型光触媒の金属ナノ粒子による機能化、光触媒反応における熱加速効果】c)流通法による連続生産【気相および液相流通型光触媒反応器】を研究キーワードに掲げ、この高難度な研究に挑戦し、平成30年度は以下の成果を得た。 【1】Rh-TiO2による光誘起核水素化反応により、フェノールからシクロヘキサノールを合成することに成功した。本系はH2を使用しない常温常圧下において反応し、また、水を溶媒として用いる環境負荷の低い反応系である。さらに、基質の光触媒上への吸着が反応特性に大きな影響を与えるという、単純であるが重要な知見を得た。 【2】Pd-TiO2による光誘起核水素化反応により、フェノールのシクロヘキサノンへの部分水素化反応が進行することを明らかにした。また、Pd上におけるシクロヘキサノンの水素化の活性化エネルギーが大きいことを見いだした。これがシクロヘキサノンが高い選択性で得られる原因であることを突き止めた。 【3】酸化チタン(TiO2)を有機基で修飾することにより可視光応答性が発現し、これを用いた芳香族ニトロ化合物の化学選択的還元反応に成功した。 【4】有機基修飾TiO2と銅助触媒を組み合わせることにより、可視光照射下、アルキンのジアステレオ選択的部分水素化が進行することを見いだした。また、ごくわずかの加熱(30℃程度)により反応速度が著しく大きくなることを明らかにし、太陽光エネルギーおよび太陽熱エネルギーの同時利用が可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、a)高難度選択的物質変換【部分酸化、部分水素化、化学選択的反応、ジアステレオ選択反応】、b)自然エネルギー(光・熱)の利用【可視光応答型光触媒の金属ナノ粒子による機能化、光触媒反応における熱加速効果】、c)流通法による連続生産【気相および液相流通型光触媒反応器】を研究キーワードに掲げ、この高難度な研究に挑戦する。平成30年度は、a)の高難度選択的物質変換系の開拓、および、これを可視光下で駆動する光触媒の開発を重点的に実施し、【1】Rh-TiO2によるフェノールからシクロヘキサノールへの核水素化反応、【2】Pd-TiO2によるフェノールのシクロヘキサノンへの部分水素化反応、【3】有機基修飾TiO2による可視光照射下、芳香族ニトロ化合物の化学選択的還元反応、【4】銅助触媒担持有機基修飾TiO2による可視光照射下、アルキンのジアステレオ選択的部分水素化反応が進行することを明らかにした。また、b)の自然エネルギー(光・熱)の利用に関して、【4】のアルキンのジアステレオ選択的部分水素化反応において、わずかな加熱により反応速度が著しく大きくなることを明らかにし、太陽光エネルギーおよび太陽熱エネルギーの同時利用が可能であることを示した。一方、c)について予備実験を開始し、良好な結果が得られている。以上の理由により、現在までの進捗状況を、(2)おおむね順調に進展している、と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に引き続き、a)高難度選択的物質変換【部分酸化、部分水素化、化学選択的反応、ジアステレオ選択反応】、b)自然エネルギー(光・熱)の利用【可視光応答型光触媒の金属ナノ粒子による機能化、光触媒反応における熱加速効果】、c)流通法による連続生産【気相および液相流通型光触媒反応器】を研究キーワードに掲げ、この高難度な研究に挑戦する。 a)高難度な物質変換反応を引き続き開拓する。 b)a)で開発した反応系を自然エネルギーを使って加速する。 c)流通式反応器を開発し、a)で開発した反応系の連続反応を試みる。 b)およびc)について、予備実験を開始し、いくつかの反応系において熱加速効果を確認している。また、流通式反応器を試作し、評価を始めている。いずれも良好な結果が得られている。
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Research Products
(52 results)