2017 Fiscal Year Annual Research Report
Physics, Mathematics and chemistry about control of dynamics in biomimetic and cell-mimetic membrane
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17H03467
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高木 昌宏 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (00183434)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞膜 / リポソーム / ラフト / 相分離 / ダイナミクス / コレステロール |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】 生体膜中には、飽和脂質とコレステロール(Chol)に富んだラフトドメインが形成されていることが示唆されており、シグナル伝達など機能発現の場としての働きがあると考えられている。モデル膜であるリポソームにおいても、ラフトドメインを模した液体秩序(Liquid-ordered, Lo)相を再現することができる。ラフトの重要な構成成分であるコレステロールは、活性酸素などにより7-ketocholesterolや7β-hydroxycholesterolといった酸化コレステロール(Oxy-Chol)へと変化する。酸化コレステロールは、生活習慣病との関連が指摘されているが、ラフトの安定性に及ぼす影響については、十分に理解されていない。そこで酸化コレステロール含有膜においてのラフトの安定性を考察した。【方法】 不飽和脂質DOPC、飽和脂質DPPC、Chol、酸化コレステロール(7keto, 7β)を用いて静置水和法によりリポソームを作成、多成分脂質膜の相分離消失温度(Tmix)を測定し、ドメインの安定性を調べた。【結果・考察】7βは、濃度依存的に相分離構造形成を阻害することが分かった。一方、7-ketoはChol/7-keto=5:15,10:10,15:5では、Lo/Ld相分離が多く形成されていた。しかし7-keto単独ではドメイン形成をしないことが分かった。相分離消失温度(Tmix)の測定を行った結果、7-ketoを含んだ組成の方が、Tmixが上昇することが分かった。Cholと7-ketoが共存する場合に、相分離構造が7-ketoを含まない場合よりも安定化されることが示唆された。その他、冷感剤メントール、局所麻酔薬、化学合成したイオンチャネルについても、膜との相互作用を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な生理活性物質について、細胞サイズリポソーム、核磁気共鳴法、各種機器分析法を組み合わせて、モデル膜の相分離構造に与える影響を調べることができている。また、人工的に合成したチャネルについても、膜との相互作用を解析した。今後、数理モデルやシミュレーションさらにLinactantの合成へと結び付けられるかが重要となる。
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Strategy for Future Research Activity |
【1】人工細胞膜を用いて、各種刺激・応答(温感、冷感、痛感、掻痒感など)を、膜ダイナミクスとして可視化、さらには、分子間相互作用を考察し、数理モデルを構築する。数理モデルを元にして、シミュレーションが可能かについて考察をする。 【2】多成分二次元膜中の二次元相分離(側方相分離)を安定化する膜分子素子(Linactant)の分子設計について、候補化合物を設計、合成する。両親媒性分子の疎水部に無秩序液体相,秩序固体相に親和性の高い官能基等を部分的に導入し、DOPC/DPPC/コレステロール系の側方相分離の誘起(安定性強化)と秩序構造制御を試みる。
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