2018 Fiscal Year Annual Research Report
機能性分子センサを用いた高温衝撃風洞における空力加熱計測手法の確立
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17H03474
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永井 大樹 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (70360724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 直文 東北大学, 工学研究科, 教授 (20333859)
丹野 英幸 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主幹研究開発員 (30358585)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 空力加熱 / 機能性分子センサ / 感温塗料 / 極超音速 / 境界層遷移 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,宇宙飛行体が大気再突入時に晒される高温・高圧環境から受ける空力加熱(物体に侵入する熱流束)分布を,非接触でかつ定量的に計測する光学計測手法を開発することである.申請者はこれまでに感温塗料(Temperature-Sensitive Paint, TSP)技術を用いて,この空力加熱計測を実施してきた.その中で,低いエンタルピーの極超音速流れでは定量的な空力加熱分布の可視化に成功しているが,自発光を有するような高エンタルピーの流れ場では,自発光とTSPによる発光を分離することができなくなり,定量的な計測ができなくっていた.本提案では,従来の感温塗料を用いた計測技術に新たな発想(背面観測,遮光層の導入)を加えることにより,高エンタルピ流れにおける空力加熱の定量的な計測に取り組んだ. 今年度は,昨年度に実施した遮光層を有するTSPの改良と基礎試験の継続を行った.特に時間応答性と発光量増強に着目し,遮光層となる材料の再選定と遮光層/TSP層の組合せ,膜厚の変化によるパラメトリックスタディを実施した.この結果,ある遮光層とTSPの組合せにおいて一定以下の膜厚の場合には,前面/背面における熱流束の比が90%以上となり,高エンタルピー流での背面観測TSPにおける熱流束算出への改善が期待できることが分かった. さらに,遮光層を有するTSPに用いた技術を応用して,境界層遷移位置の可視化も実施し,その位置検出の高精度推算に適用可能であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,昨年度の計画変更に伴い,遮光層を有するTSPの新たな改良とその基礎試験に注力した.その結果,十分な性能の新たなTSPを開発することができ,一定以上の進捗を得られた.ただし,材料の選定による性能向上については,若干限界が見られ,更なる向上を目指すためには,解析手法の見直しが必要であることも明らかとなった.また,新たなTSPによる計測技術を開発するにあたって,遮光層に新たな材料を選定することによって,主目的としている空力加熱計測以外にも,関連する境界層遷移位置の計測精度向上にも応用できることとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,新たに開発した遮光層を有するTSPを利用した空力加熱率の算出方法の開発と,統計手法を利用した不確かさ解析による,計測誤差の軽減に注力する.また高温衝撃風洞による実証試験については,模型と光学系の準備を進め,施設側のタイミングに合わせて試験ができるように準備を進めておく.さらに昨年度に新たに見出した,境界層遷移位置の検出に向けた適用も併せて進める.
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Research Products
(6 results)