2018 Fiscal Year Annual Research Report
流路拡大部におけるデトネーションの動力学とそのパルスデトネーション技術への応用
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17H03482
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
遠藤 琢磨 広島大学, 工学研究科, 教授 (00211780)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | デトネーション / 燃焼 / 高速流 / 溶射 / 内燃機関 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、パルスデトネーション溶射に関しては、高融点セラミックスの溶射を中心に実験を進めると共に、実用化溶射装置の試作1号機を設計・製作して、そのテスト運転を開始した。またパルスデトネーションタービンエンジンに関しては、デトネーション発生部の最適化を行いつつ、自立運転のための装置の設計を始めた。 溶射に関しては、高融点セラミックスとして、これまでの装置ではうまく溶射できなかったイットリアを取り上げ、その溶射可能性を調べた。結果として、出口径を拡げた新しい溶射装置では、イットリアも溶射可能となった。その詳細な理由については、完全には理解されてはいないが、出口径が拡がったことで溶射装置出口と基材との距離を長く取ることができるようになり、粉体の加熱時間が長くなったことが主原因と考えている。また、実用化溶射装置の試作1号機のテスト運転を開始し、アルミナの溶射を試みた結果、これまでの装置と同様に良好な結果が得られ、順調な結果が得られつつある。 タービンエンジンに関しては、パルスデトネーションの運転安定性をさらに高めるためにデトネーション発生部を最適化するためのシングルショットベースの基礎実験を行い、これまでの障害物間隔12.5mmよりも20mmの方が安定にデトネーションを発生させられることを見出した。そして、基礎実験の結果を基にしてパルスデトネーション連続運転も試み、良好な結果を得た。また、自動車用ターボチャージャーを様々な条件でテストした結果、それを改造してパルスデトネーションタービンエンジンを自立運転することは困難であるとの結論に達し、教材用に販売されているガスタービンエンジンを新たにテストすることに決定し、そのための設計等の準備を始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
溶射に関しては、当初の予想を超えたペースで研究が進み、これまでの装置ではうまく溶射できなかった高融点セラミックスも溶射できるようになり、さらに実用化溶射装置の試作1号機のテスト運転も既に開始できている。一方、タービンエンジンに関しては、自動車用ターボチャージャーを様々な条件でテストした結果、パルスデトネーションタービンエンジンを自立運転させるには圧縮機部分の大幅な改造が必要であることが明らかになり、予算的に困難であることが判明した。その結果、教材用に販売されているガスタービンエンジンを新たなターゲットとしてテストし始めざるを得なくなり、当初計画よりもやや遅れ気味である。結果として、総合的には「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度(最終年度)の研究実施計画は、以下のようである。 パルスデトネーション溶射装置の改善については、以下のように進める。2018年度に、メンテナンスしやすい構造のパルスデトネーション溶射実用装置1号機を試作したので、そのテスト運転をさらに進め、その結果を2号機の設計・製作にフィードバックし、実用装置を完成させる。また、種々の材料の溶射をさらに試み、開発しているパルスデトネーション溶射装置の特性をより明確にしていく。なお、実験で使用する爆発性混合気は当量比1.1のエチレン・酸素混合気およびそれをアルゴンで希釈した混合気である。 パルスデトネーションタービンエンジンの改善については、当初の計画を変更し、小型の教材用ガスタービンエンジンを購入し、それを改造することで自立運転の可能性を追求する。市販の教材用ガスタービンエンジンを改造してパルスデトネーション燃焼器と接続できるようにし、圧縮機部分を取り外してタービンのシャフト出力を利用して発電機を運転し、自立運転ではない(空気は外部空気源を使って供給)パルスデトネーションタービンエンジンの運転パラメータと発電機出力の関係を実験的に調べる。熱効率を算出し、自立運転が可能と判断されれば、さらに自立運転用に改造して開発を進める。なお、実験で使用する爆発性混合気は当量比1の水素・空気混合気である。
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