2017 Fiscal Year Annual Research Report
深喫水船舶への実用化を目指した船舶抵抗低減のための高汎用性翼型気泡発生装置の開発
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17H03499
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
熊谷 一郎 明星大学, 理工学部, 教授 (50597680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村井 祐一 北海道大学, 工学研究院, 教授 (80273001)
藤本 修平 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (80586686)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 船体抵抗低減 / 気液二相流 / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,平成30年度から始まる本実験のための準備を行った.申請書に記載した研究計画予定表に則り,以下の項目を実施した. ①翼型気泡発生装置の深喫水船舶への拡張に関する実験 研究代表者の熊谷(明星大学)は,最大流速5m/sにおける実験を実現するため,可視化システムに必要な高速度カメラやレーザー光源を選定・購入した.また,気泡発生翼周りの微小気泡と周囲流体の流れ場を同時に可視化するため,蛍光粒子を購入し,LIF法に関する予備実験を行った.以上により本学の水槽を用いた可視化実験が可能となった.また,10m/sの流速が可能となる回流水槽を持つ研究施設の研究者らと交渉し,来年度の実験実施に向けた打ち合わせを行った.研究分担者の村井(北海道大学)は,気液二相流の数値シミュレーションのコードを作成し,水面下を等速運動する円柱や翼に関する予備計算を行った.これにより,自由界面の変形や流れ場の解析を行い,過去の実験結果との比較や検討を行った. ②微小気泡による船舶抵抗低減法に関する船体壁面の傾斜や凹凸の依存性について 研究分担者の藤本(海上・港湾・航空技術研究所)は,ドック入り直後の船体壁面の凹凸データを取得するための手法について調査を行った.船体の塗装直後の凹凸は,数十ミクロン程度であるが,それらを取得できるかどうか,模擬資料を用いた実験を行い,実船での計測が可能であることを確認した.また,取得した凹凸データについて,その統計量と壁面抵抗の関係について調べた.さらに,壁面凹凸データを取得できる船舶を調査・選定し,交渉を行った.実験担当の熊谷は,微小領域(10mm×10mm)を遠方から撮影可能な顕微鏡レンズと高速度カメラを用い,壁面近傍の微小気泡の振る舞いが撮影できることを確認し,次年度の本実験へ向けた準備を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記した通り,本研究は,申請書に記載した研究計画予定表に則って,順調に研究を実施している.そのため,実験および数値計算の準備がほぼ完了し,次年度の本格的な実験および数値計算を行う体制が整った.また申請当初予定していなかった10m/sの流速が可能な回流水槽での実験が,その施設を持つ研究者らとの交渉によって実施できる見込みとなった.これが可能になれば,当初の予定よりもさらに進んだ研究成果が期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画予定表に従って,以下の研究を進める. ①深喫水船舶(>10 m)でも自吸可能な翼型気泡発生装置の研究開発 翼型気泡発生装置の実験を行ない,翼形状,迎角,流速,配置などを変化させ,それらパラメータによる流れ場の影響や空気の導入能力,そして気泡流量などについて,初年度に準備した可視化装置で得られた画像を解析することで明らかにしていく.また村井による数値シミュレーションによる広範かつ精細なパラメータスタディの結果と連携しながら,圧力係数の大きさを従来の翼型気泡発生装置の二倍以上に引き上げ,深喫水船舶(>10m)でも自吸可能な翼型気泡発生装置の開発と最適化を行う. ②微小気泡による船舶抵抗低減法に関する船体壁面の傾斜や凹凸の依存性について 壁面傾斜や凹凸が気泡による抵抗低減にどのような影響を与えるのかについて,北大の回流水槽や,10m/sの流速が可能な回流水槽(他の研究施設を使用予定)を用いて調べる. また,藤本によって得られた船体の壁面形状データを統計処理および解析を行い,その結果から模擬壁面を作成し,実船の壁面(粗面)が微小気泡による抵抗低減に及ぼす影響について,実験と村井の数値計算で解明していく.
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