2019 Fiscal Year Annual Research Report
Hydrogen reflection and desorption at the plasma electrode of a negative hydrogen ion source
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17H03512
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
和田 元 同志社大学, 理工学部, 教授 (30201263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津守 克嘉 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (50236949)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プラズマ固体壁相互作用 / 水素負イオン / 負イオン表面生成 / 仕事関数 / プラズマ加熱 / ECR放電 / 粒子反射 / 中性粒子ビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
ほぼ,当初計画通りに研究を進めることができた.素過程データの集積については100 eV以上のエネルギー領域で,表面反射された水素の荷電状態として負イオンが多いことを定量的に明らかにし,結果を国際会議にポスター発表,論文一編を出版した.また,装置の動作範囲の低エネルギー領域への拡大を目指して小型の質量分離系を組み込んだ水素イオン源を整備し,世界で初めて数10 eVレベルのビームを静電加減速系無しに輸送することができた.この性能向上について国際学会にて2件を報告し,論文として纏めている. 小型イオン源を用いたシミュレーション実験についても,計画通りに実験を実施し,データを取得できた.プラズマ電極材料として,これまで粒子反射特性を明らかにしてきた金属表面,特にプラズマ電極として一般的に使用されているモリブデンに加えてアルミ,セラミックス材料であるC12A7エレクトライドについて,プラズマ電極性能を評価した.まず,小型イオン源の性能評価を行い,ECR水素放電下でプラズマ電極バイアスを変化させ,負イオン電流,漏洩電子電流の引き出し特性を計測した.また,イオン源性能評価のために分光法と静電短針法を用いてプラズマ計測を行った.結果,イオン源性能としては体積生成効果が顕著に現れているが,プラズマ電極の材質によって生成負イオン量に有意な差がみられることから,詳細な運転パラメーターの制御により表面効果と体積効果を分離できるように計測系を改善中である.本小型装置についても国際会議にて2件を発表し,一編の論文を出版,さらにもう一編を投稿予定である. この他,エレクトライド材については仕事関数測定などの調査を国際共同研究の形で実施した.その結果仕事関数計測に使用する紫外線が照射された領域について損傷が見られることが観測され,現在この現象の再現性について確認中であり,さらに原因を調査中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記実験系研究については計画以上に進展していると言える.特に国際イオン源会議に報告した高周波駆動型水素負イオン源から引き出されたビームの振動を,表面生成と体積生成の二つの側面から考察した論文は,会議において高い関心を得た.ポスター発表の時間中,欧州加速器研究機構や中国(会議開催国)の加速器施設の研究者が行列を作る状態となり,本研究課題が国際的に認識されるようになったと考えている.またシミュレーション実験用イオン源についても,放電体積を増強してのデータ収集など,動的に進展している.素過程実験については,さらなる低エネルギー領域に計測可能範囲を広げており,検出器の構成実験を実施する予定であるなど,より信頼性の高いデータ採取が期待され,実際の負イオン源プラズマグリッド表面での粒子-固体壁相互作用を解析する上で有用なデータが得られるものと期待される. しかしながら,表面反応シミュレーションモデルの検討については,必ずしも新たなモデルを構築し,大きな進展が得られたわけではない.昨年までに二体衝突近似によってモデル化してきた部分については,重水素負イオン源運転に関するレビュー論文の中でまとめたところであるが,当初もくろんでいた低エネルギー領域での表面反応詳細モデルについては,未だ専門家との議論を続けている状態であり,研究推進シナリオの見直しが必要と感じられる.現在作成しようとしている模型では「純粋」な状態しか模擬できず,当該分野研究者の中には実際のプラズマ電極データとの比較は不可能とのコメントを寄せるものもおり,何らかの近似計算を導入できないか専門家の意見を集約中である.研究最終年である本年度早い時期に,当初計画どおりの分子動力学的手法を用いるのか,何らかの表面モデル導入を行うのかいずれかに決定する.以上,実験テーマ群と数値シミュレーションテーマを統合しておおむね順調と評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
核融合科学研究所に整備中の粒子反射計測装置についてはほぼ完成しており,今後核融合科学研究所を核とする共同研究体制により粒子反射・脱離素過程のデータ供給が行われるものと期待される.本年は本研究テーマに特化して水素,特に負イオンの関与する表面素過程実験データを採取して,本研究課題の他の実験,数値シミュレーションモデル構築に利用する. 小型イオン源を用いたシミュレーション実験では核融合研が保有する,実サイズ中性粒子加熱装置規模の研究開発用負イオン源装置で得られるデータと比較できるよう,プラズマパラメータの範囲を拡大しつつデータを取得する.本来は9月期に水素負イオン国際会議が予定されていたが,現状学会活動がどうなるのか予測が難しいため,秋期の学会の可能性を検討しつつ,論文にまとめることを目指して2つのサイズのテストイオン源にもとづく研究を展開する.特に昨年度に判明した,紫外線の集中照射に伴う表面劣化の効果を調査するため,一定時間運転の後にプラズマ電極表面状況の調査を行うことにする. 研究の展開としてレーザーを用いたプラズマグリッド表面の吸着量評価についての実験も実施したいと考えている.残念ながら研究の過程で得た着想であって,本実験を行うことができるイオン源構造とはなっていないことからシミュレーション実験として実施することになる予定であるが,うまく行けば核融合研のみでなく,量研機構の負イオン源のプラズマグリッドモニターにも利用可能となる可能性もあり,本研究課題の大きな成果とすることができるので,是非挑戦したい. 数値シミュレーションモデルの構築については,本年度特に重点的に取り組みたいと考えている.時間的問題からデータセットとして完全な形を目指すよりも,実験と比較しうるレベルのデータが,代表的な条件に対して供給できるレベルを目指す.研究全体についても纏めの作業を実施する.
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[Presentation] Plasmas in Caesium-Seeded Negative Ion Sources2019
Author(s)
Katsuyoshi Tsumori, H. Nakano, K. Ikeda, M. Kisaki, S. Geng, K. Nagaoka, M. Wada, Y. Haba,S. Masaki, S. Kamio, Y. Fujiwara, M. Osakabe
Organizer
34th International Conference on Phenomena in Ionized Gases
Int'l Joint Research
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