2018 Fiscal Year Annual Research Report
Measurement of amount of nuclear material by using combination of neutron and gamma-ray noise analysis
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17H03520
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三澤 毅 京都大学, 複合原子力科学研究所, 教授 (70219616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 佳之 京都大学, 複合原子力科学研究所, 助教 (40579273)
北村 康則 京都大学, 複合原子力科学研究所, 助教 (60332706)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 核物質 / 中性子雑音 / ガンマ線雑音 / 臨界実験 / パイルアップ |
Outline of Annual Research Achievements |
ウラン等の核物質の量を測定することはスーツケース等に違法に隠匿された核爆弾の原料となり得る核物質を探知するという核テロを未然に防ぐ核セキュリティー対策としても重要である。本研究においては核物質の探知と定量方法として、パルス中性子やRI中性子源からの中性子を対象物に照射し、RI中性子源及び対象物から放出される中性子及びガンマ線を同時に測定する「混合雑音解析法」を提案し、そのための核燃料を用いた基礎実験と解析を行うことを通じて本解析法の有効性と問題点を明らかにして、核燃料の安全管理および核物質探知に用いること目的としている。 これまでに天然ウラン体系での中性子雑音とガンマ線雑音解析を行い、特に実施例が乏しかったガンマ線のエネルギーを弁別しながら雑音解析を行う手法が検出器の位置依存性を抑えながら未臨界度を評価する手法として有効であることを確認することができたが、ガンマ線や中性子の計数率が高い場合の検出信号パルスのパイルアップによる計数の数え落とし、及び誤検出信号をどのように少なくするかが問題であった。そこで今年度は未臨界を評価する実験を京都大学臨界集合体実験装置の原子炉において再度実施し、これまでの検出時刻とその最大波高値のみを測定するという方法ではなく検出器からのパルスの形状をすべて詳細に測定するという実験手法を初めて導入し、その全てのパルス形状を詳細に分析するという全く新しい解析を行った。その結果、パイルアップにより生じる誤信号をすべて除去することができ、未臨界度の測定精度を格段に向上させることができることが判った。この手法を用いることにより中性子源の強度が強い場合やバックグラウンドが高い場合に生じる様々な問題を解決できるだけでなく、当初の目標としていたガンマ線と中性子を正確に弁別して測定を行うことで核物質探知を精度良く行うことができる見通しを立てることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で核物質の探知を行ったり体系の未臨界度を正確に評価するための手法として、中性子とガンマ線を測定してその時系列データを雑音解析法により処理する手法が有効であることを確認してきた。昨年度までに京都大学の原子炉において行った実験で1つの検出器での測定では未臨界度を正しく測定できないものの、複数の検出器を設置して中性子雑音の分散と共分散を解析することにより未臨界度を正確に求めることができることなどを確認してきたが、信号のパイルアップにより誤信号をどのように抑えることができるかが課題であった。今年度の研究において信号パルスの形状をすべて詳細に取り込むという新しい測定装置を用いて実験を行う解析したところ、パイルアップを確実に除去できる見込が立った。この手法を中性子とガンマ線の両方の信号に同時に用いることにより当初の目標としていた雑音解析を精度良く行うことができる見通しを立てることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究でパルスの形状解析と雑音解析を併用する手法を確立し、その手法をもちいることで核物質の探知精度を向上させることができる見通しを立てることができた。この手法は中性子検出器について用いたもので、今後はガンマ線検出器からの信号解析にも適用する予定である。ガンマ線検出は中性子検出に比べて検出効率が高くバックグランドも高い場合が多いためパイルアップを起こしやすく、今回の波形解析の手法の有効性はより大きいと考えられる。今後は中性子とガンマ線を同時に測定することができる液体シンチレーション検出器などの複数の検出器を用いて、ガンマ線と中性子の同時雑音解析を行い核物質探知に用いるための本手法の検討を進める予定である。
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