2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H03523
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊豫本 直子 九州大学, 工学研究院, 准教授 (40508173)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 放射線、X線、粒子線 / 超伝導材料・素子 / 低温物性 / マイクロカロリメータ |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロカロリメータは放射線を吸収体で吸収した際の温度変化を温度計で測定することで放射線のエネルギーを計測するエネルギー分散型の放射線検出器であり、従来のエネルギー分散型の放射線検出器に比べて1~2桁優れたエネルギー分解能が特徴である。本課題では数百keVから数MeVのガンマ線を対象としたマイクロカロリメータを開発して、0.1~0.2keV程度のエネルギー分解能の実現を目指す。さらに1つの吸収体の温度変化を複数の温度計で読み出すことにより、吸収体内部での熱の伝わり方の違いによる波形の違いから吸収体へのガンマ線入射位置を検出できる位置検出型のマイクロカロリメータを開発する。 平成29年度の研究では、微細加工プロセスにより製作した超伝導転移端(Transition-Edge Sensor: TES)型温度計を0.5mmx0.5mmx19mmのガンマ線吸収体の両端に1個ずつ取り付けることで連続型吸収体の位置検出型マイクロカロリメータを製作した。このマイクロカロリメータを希釈冷凍機で100mK程度まで冷却してセシウム137からの662keVのガンマ線を照射することで性能評価を行なった。冷凍機の配線の不具合により位置検出型マイクロカロリメータの片側の温度計からしか信号を読み出せなかったためガンマ線入射位置の特定はできなかったが、読み出したガンマ線信号の波高と立ち上がり時間との間に明確な相関があること、すなわち位置依存性を検出することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
連続型吸収体の位置検出型マイクロカロリメータを製作してガンマ線照射実験を行い、ガンマ線信号の波高と立ち上がり時間との相関、すなわち位置依存性を検出できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、連続型吸収体の位置検出型マイクロカロリメータの両側の温度計からガンマ線信号を読み出すことで、ガンマ線入射位置の特定を試みる。さらに、分割型吸収体の位置検出型マイクロカロリメータを製作してガンマ線を照射し、分割型吸収体の場合の波高と波形の相関を調べる。分割型吸収体の場合は、片側の温度計からの信号でもガンマ線入射位置を特定可能である。
|