2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H03523
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊豫本 直子 九州大学, 工学研究院, 准教授 (40508173)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 放射線、X線、粒子線 / 超伝導材料・素子 / 低温物性 / マイクロカロリメータ |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 位置検出型マイクロカロリメータの熱的電気的シミュレーターの開発:測定結果の理解と新たな位置検出型マイクロカロリメータの設計には、位置検出型マイクロカロリメータの動作を熱的電気的なシミュレーションにより再現することが重要である。平成30年度はそのためのシミュレーターを開発した。
(2) 連続型吸収体での位置検出実験: 微細加工プロセスにより製作した超伝導転移端(Transition-Edge Sensor: TES)型温度計を0.5mmx0.5mmx19mmのガンマ線吸収体の両端に1個ずつ取り付けた連続型吸収体の位置検出型マイクロカロリメータを、平成29年度と同様に100mK程度まで冷却して662keVのガンマ線を照射して性能評価を行なった。冷凍機の配線の不具合により位置検出型マイクロカロリメータの片側の温度計からしか信号を読み出せなかったが、(1)のシミュレーション結果と平成30年度の測定結果との比較により、片側からの読み出しでもガンマ線イベントをすべて取得可能であり従ってガンマ線入射位置の特定が可能であると結論できた。また、もし機械式冷凍機の振動やマイクロカロリメータの基板部への放射線入射を抑制できれば、現在の設計で、位置分解能、エネルギー分解能ともに目標値を達成できる見込みであることがわかった。
(3) 分割型吸収体での位置検出実験:連続型吸収体は位置分解能は優れているが位置検出には校正作業が必要である。そこで、位置分解能は劣るものの校正作業が不要で取り扱いやすい分割型吸収体を製作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
製作した位置検出型マイクロカロリメータ素子によるガンマ線測定結果と新たに開発したシミュレーターの計算結果を比較したところ、目標とする位置分解能とエネルギー分解能を現在の素子で達成できる見込みであると判断できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
連続型吸収体の位置検出型マイクロカロリメータでの両側の温度計からの信号の読み出しを実現させる。分割型吸収体を利用したマイクロカロリメータについても冷却してガンマ線照射実験を行う。 エネルギー分解能の改善のため、新規に利用が可能になった振動の少ない機械式冷凍を立ち上げる。さらに基板の面積を減らしたマイクロカロリメータを設計・製作するととともに、動作温度を下げることでもエネルギー分解能の改善の改善を目指す。
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[Journal Article] Development of Gamma-Ray Transition-Edge-Sensor Microcalorimeters on Thick Membranes2019
Author(s)
Iyomoto, Naoko; Yoshimine, Ikumi; Shuto, Yuki; Kuroiwa, Takehiro; Maehata, Keisuke; Hayashi, Tasuku; Muramatsu, Haruka; Nagayoshi, Kenichiro; Mitsuda, Kazuhisa; Takano, Akira; Yoshimoto, Shota; Kurume, Yuta; Ishibashi, Kenji
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Journal Title
Journal of Low Temperature Physics
Volume: 194
Pages: 412 417
DOI
Peer Reviewed
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