2019 Fiscal Year Annual Research Report
回転コヒーレンスと質量分析を組み合わせたアイソトポマー存在比計測法の開発
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17H03525
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
赤木 浩 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, 上席研究員(定常) (70354818)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アイソトポマー分析 / 回転コヒーレンス / 非共鳴多光子イオン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本代表者らが考案し、実証した回転コヒーレンス同位体分離を応用することで、イオン化による回転コヒーレンス測定を利用したアイソトポマー(同位体分子種)存在比計測を実現する。その原理実証、およびその有用性を明らかにすることが、本研究の目的である。 同じ質量数のアイソトポマーや、同位体の分子内位置だけが異なる同位体位置異性体を有する分子に対しては、既存の計測手法では計測精度・感度に限界がある。本研究では、最先端のレーザー分子制御手法を適用することで、高い検出感度および質量識別能力を有する質量分析法と、同質量数のアイソトポマーや同位体位置異性体の識別能力を有する分子分光分析法の、双方の利点を兼ね備えたアイソトポマー存在比計測手法を確立し、その性能を定量的に評価する。 前年度までに構築・最適化を進めてきた計測システム、および高速データ取得・データ処理用プログラムのさらなる最適化を行うことにより、高繰り返しパルスバルブの動作周波数上限に近い250Hzでの安定したデータ取得が出来るようになった。計測系の構築・最適化を完了した。 完成した計測システムを使用して、N2Oガスを対象にフェムト秒2パルス照射を行い、イオン化による回転コヒーレンス計測を開始した。fsレーザーパルスの各パラメータ(パルスエネルギー、ビーム径、パルス幅)や光学系の最適化、さらにはガス導入パラメータの条件最適化を進めることで、N2O分子のイオン収量に明確なビートを観測した。この実験データを、時間依存シュレーディンガー方程式に基づく分子回転波束計算の結果と比較し、N2O分子の回転コヒーレンスであることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、実験システム構築を完了し、N2O分子の回転コヒーレンス観測に成功した。また、分子回転波束計算にも着手し、実験データとの比較が出来るようになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に則って研究を実施する。分子回転波束計算を活用し、最適な計測条件の絞り込みを行うことで、さらなる計測精度の向上を図る。研究協力者や、関連分野の研究者と情報共有を行い、研究をさらに推し進める。
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