2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of neural circuits that generate orientation selectivity in the mouse primary visual cortex
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17H03540
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
根東 覚 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任准教授 (20301757)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | スパインイメージング / 大脳一次視覚野 / ２光子カルシウムイメージング / マウス |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、マウス一次視覚野単一細胞への入力をスパインのin vivo２光子カルシウムイメージングを行い調べることを目標としている。この目標を進めるにあたってまず重要なことは、スパインイメージングを行うニューロンの細胞体活動を鎮静化することであると考えた。理由は、細胞体活動電位が樹状突起内へ逆行性伝播することによるシグナル解析への影響である。この電位逆伝播は樹状突起のみならず、スパイン内へも伝わり記録されるスパインシグナルに混入することで、スパインシグナルの評価に影響を与えることが知られている。本研究では、物体の形の認識に重要な、「線の傾き」情報の抽出を行う細胞への入力を解析している。様々な傾きをもつ線を提示すると、ある傾きに選択的に反応する細胞が一次視覚野には存在する。この選択的な反応は細胞体の活動として検出されるが、細胞体活動電位の発生を伴うため上記の機序によりスパインのシグナルが隠されてしまう。平成２９年度は細胞体活動を鎮静化する方法として２つの抑制性分子を候補として挙げ検討を行いSwiChR++が有効であることを確認した。このような工夫により細胞体活動を抑え、逆伝播が存在しない条件下にスパイン活動のイメージングを行った。以上、平成３０年度の目標として「皮質内ニューロンの鎮静下におけるスパインイメージングの開始」を設定し実施した。平成３０年度の研究成果は、第４１回日本神経科学会（神戸国際会議場）と第９６回日本生理学会（神戸国際会議場）にて発表した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成２９年度に完成させた細胞体活動電位の発生を抑制する実験系を用いた実験を開始した。一次視覚野ニューロンにカルシウム感受性タンパクの一種であるGCaMP6sと細胞体活動電位の発生を抑制するための光遺伝学分子（SwiChR++）を、AAVを用いて遺伝子導入し発現させた。発現にはAAv2/1-hSyn-creを使うことで、一次視覚野のニューロンに低密度で発現するよう調整した。SwiChR++には分布が細胞体に限局するようにkv2.1シグナルを付加した。さまざまな線の傾きをもつ視覚刺激を提示しながら、マウス一次視覚野で２光子カルシウムイメージング行うと、ある傾きを持つ線に選択的に反応する細胞が認められた。またこの細胞から伸びる樹状突起を観察するとスパインを同定することが出来た。一方このスパインを２光子カルシウムイメージングしながら様々な傾きを持つ線の視覚刺激を同様に提示するとスパインが反応する様子が見られたが、特定の傾きを持つ線の提示により細胞体が活動し、その活動が樹状突起に逆伝播することですべてのスパインのシグナルが一斉に上昇する様子を確認した。次にこの逆伝播を抑止するため、光を照射することで抑制性分子を活性化させ、逆伝播が起こらない条件で個々のスパインの活動を記録した。光抑制は、細胞体に限局してレーザー光を照射しているため、樹状突起には抑制性作用はないと考えている。以上のように視覚刺激に対して細胞体活動を抑制した条件でスパインのイメージングを行い、１個の細胞から約１０００個のスパインから記録し、現在データ解析を行っている。以上のように平成３０年度の目標とした細胞体活動の抑制下にスパインイメージングのデータ収集が進んでいる。それゆえ研究は概ね順調に進捗しているものと考えている。
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| Strategy for Future Research Activity |
上記のように平成３０年度の目標であった「皮質内ニューロンの鎮静下におけるスパインイメージングの開始」は順調に進んでいる。今後も研究計画通り進むように最大限の努力を払い研究を継続させていく予定である。平成３１年度は、平成２９、３０年度の２年間に新規開発を終えた抑制性光遺伝学分子を用いた方法により、細胞体活動電位の発生を抑えた条件下のスパインイメージングを継続して行う。論文報告する準備としてカルシウムの機能イメージングに加えて、以下の２つの解析を行う予定にしている。（１）記録したスパインの樹状突起上での空間分布を記述し、解剖学的な解析を行う。（２）入力と出力の関係を明らかにする解析として、数理モデルを検討する。入力の大きさ（カルシウムシグナルの変化の大きさ）によって、細胞体の興奮性に及ぼす影響が異なる可能性が考えられる。このような非線形加算を考慮した数理モデルを立て、入出力関係を検討する。平成３１年度は、上記２つの解析も検討しつつスパインイメージングを行い、最終的な目標である「マウス一次視覚野ニューロンに方位選択性が生じる神経回路の解明」に向けて研究をより一層推進させる。
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Research Products
(2 results)
