2019 Fiscal Year Annual Research Report
Exploring the evolutionary origin of mammalian pallial regions by comparative developmental analysis
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17H03552
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
野村 真 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10323007)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大脳皮質 / 外套 / 神経前駆細胞 / 神経細胞移動 / Wntシグナル / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトを含めた哺乳類の大脳外套領域は高度に特殊化した形態と機能を備えているが、こうした神経解剖学的構造が進化の過程でどのようにして獲得されたのかは未だ明らかとなっていない。本研究では、哺乳類と非哺乳類(爬虫類、鳥類)の大脳の初期発生過程を比較し、予定運命地図作製や細胞増殖・分化率の定量的解析、脳領域特異的エンハンサー・リポーターを用いた細胞系譜解析、さらに脳領域特異的な遺伝子の機能破壊による表現型の比較を行うことを目標とした。本年度は、脳の初期発生過程において神経前駆細胞の増殖・分化・移動に関与するWntシグナルの発現と機能の種間比較を行い、Wntシグナルと大脳形態の多様性との関連を解析した。その結果、哺乳類背側外套(予定大脳皮質領域)の発生過程では多極性の神経細胞では高いWnt活性が維持されているが、単極性の神経細胞(細胞体トランスロケーション型の移動)および双極性のロコモーション型の神経細胞ではWntシグナルの減衰が認められた。一方、爬虫類、鳥類ではこうしたWntシグナル活性の変化が起こらず、移動する神経細胞は少数の細胞体トランスロケーション型と大多数の多極性の神経細胞で占められることがわかった。さらに、ドミナント・ネガティブ型のTcf4(Wntシグナル伝達に必要な転写因子)の強制発現によって爬虫類や鳥類の背側外套におけるWntシグナルの阻害実験を行うと、細胞体トランスロケーション型の神経細胞が増加したが、ロコモーション型の細胞移動は誘導されなかった。さらに、鳥類外套でWntシグナルを阻害すると、多極性の神経細胞の突起がほぼ消失するという表現型が観察された。こうした結果より、Wntシグナルの時空間的的活性制御による移動神経細胞の形態変化が大脳皮質に特有の6層構造の進化に重要な役割を果たしたことが推測された。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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