2018 Fiscal Year Annual Research Report
アストロサイトを侵すタウオパチー:タウの病理多様性とアストロサイト多様性の関係
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17H03554
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高橋 均 新潟大学, 脳研究所, 非常勤講師 (90206839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野寺 理 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20303167)
豊島 靖子 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (20334675)
加藤 泰介 新潟大学, 脳研究所, 特任准教授 (30598496)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | タウオパチー / アストロサイト / 4-リピートタウ / 進行性核上性麻痺 / 皮質基底核変性症 |
Outline of Annual Research Achievements |
PSPとCBDはアストロサイト胞体内に4-リピートリン酸化タウ蓄積による封入体を認める疾患であるが、両疾患間でその封入体の形状や封入体含有アストロサイトの脳内分布が異なる。PSPではtufted astrocyte、CBDではastrocytic plaqueを示し、前者は明るく、やや大きい核の周辺から放射状にくねくね伸びる表面の滑らかな線状構造であるが、後者は太 く、短い、表面がギザギザしてみえる構造物である。また、PSPでは主に皮質、特に皮質深部に分布するのに対し、CBDでは皮質から白質まで広汎に認められる。それ故、これらの疾患では、その病的なアストロサイトの種類が異なると推察した。近年、アストロサイトは極めて複雑な、機能的に多様性に富む細胞であることが示唆されている。しかし、その分子マー カーは明らかとはなっていないため、免疫組織化学的にこれらを区別することは困難であった。我々は、両疾患においてリン酸化タウの蓄積を認めるアストロサイトの特性を解析する。今までに、PSPとCBD剖検脳を対象とし、両疾患で高頻度に異常アストロサイトを認める運動野を含む大脳のフォルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織を用い、抗リン酸化タウ 抗体(clone AT8 , Innogenetics)を用いて免疫染色を行い,特徴的な封入体を持つアストロサイトを皮質にて同定し、Laser Capture Microdissection System(Leica LMD 7000:Leica 社)にて、1例につき100細胞を目安とし選択的回収を行うことを試みた。しかし、細胞範囲を同定することが困難であり、同定手法を再考する必要があることが判明した。よって、当該領域の組織を用いて解析を試み、得られた結果からクラスター解析を行い、PSPとCBDの皮質のアストロサイト間の差の検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今までにPSPとCBD剖検脳を対象とし、両疾患で高頻度に異常アストロサイトを認める運動野を含む大脳のフォルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織を用い、抗リン酸化タウ 抗体(clone AT8 , Innogenetics)を用いて免疫染色を行い、特徴的な封入体を持つアストロサイトを皮質にて同定し、Laser Capture Microdissection System(Leica LMD 7000:Leica 社)にて、1例につき100細胞を目安とし選択的回収を行うことを試みた。しかし、個々のリン酸化タウ陽性のアストロサイトにおいて、その細胞範囲を同定することが困難であり、同定手法を再考する必要があることが判明した。よって、当該領域(運動野)の組織を用いて解析を試み、得られた結果からクラスター解析を行い、PSPとCBDの皮質のアストロサイト間の差の検討を開始した。これまでに、罹患部位の同定には成功しており、またパラフィン包埋切片からのRNA及びタンパクの解析については、試験的に可能であることを見出している。また、その解析結果のクラスター解析の手法にも精通している。
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Strategy for Future Research Activity |
PSPとCBD剖検脳(各々 5 症例)を対象とし、両疾患で高頻度に異常アストロサイトを認める運動野を含む大脳のフォルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織を用いる。我々は10μm厚に切り出した標本を抗リン酸化タウ 抗体(clone AT8 , Innogenetics)を用いて免疫染色を行い、特徴的な封入体を持つアストロサイトを運動野皮質にて同定し、Laser Capture Microdissection System(Leica LMD 7000:Leica 社)にて、当該領域の組織を集積し解析を試みる。得られた結果から、クラスター解析を行い、PSPとCBDの運動野皮質のアストロサイト間の差をみる方針とした。最終年度は、これを推し進め、FFPE切片から 抽出した資料を用い蛋白質を質量分析法により解析し、罹患アストロサイトの分子署名の相異を検討する。同時に、すでに判明しているアストロサイトの種ごとの特異的核酸プローブ、抗体を用い、両疾患間のアストロサイトの相異を明確にする。
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[Journal Article] Globular glial tauopathy Type II: clinicopathological study of two autopsy cases2019
Author(s)
Tanaka H, Kawakatsu S, Toyoshima Y, Miura T, Mezaki N, Mano A, Sanpei K, Kobayashi R, Hayashi H, Otani K, Ikeuchi T, Onodera O, Kakita A, Takahashi H
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Journal Title
Neuropathology
Volume: 39
Pages: 111-119
DOI
Peer Reviewed
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