2018 Fiscal Year Annual Research Report
Signaling mechanism for myelin maintenance
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17H03564
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
山内 淳司 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (20335483)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ミエリン化 / 再ミエリン化 / シュワン細胞 / オリゴデンドロサイト / シグナル伝達 / 変性疾患 / 創薬標的分子 / インビトロ共培養システム |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究では自然状態での再ミエリン化に関与する主要な分子メカニズムの解明を行う。どのような分子がその起点になり、その後のミエリン化過程を維持し制御するのか明らかにする。 これまでの研究データをもとに、インビトロ共培養システムを用いて、ミエリン再編にかかわる可能性がある分子を選定する。また、選定された分子に結合する蛋白質を明らかにすることで、主要な分子ネットワークを解明することを目的としている。 先にインビトロ共培養システムで選定された分子に、FLAGやHisのタンデムタグをコードする塩基配列を付加する。それをシュワン細胞株RT4-D6P2Tに発現させタグ抗体で、順次、免疫沈降し、結合する蛋白質の質量分析(MS)解析を行う。RT4-D6P2T細胞は株化細胞である。しかし、トランスクリプトーム解析からmRNAの種類はが、初代シュワン細胞のそれと約75%同じであった(未発表データ)。また、それはジブチルサイクリックAMPでミエリン様の膜を形成する能力をもつ。応募者は、実際、この方法で既知および機能未知のプローブへの結合分子を同定している(宮本,応募者ら Mol.Biol.Cell 2015)。 この方法を利用して現在まで種類の主要な候補となる分子(細胞内シグナル伝達分子や転写因子および受容体)に関して、それぞれ最低3種類の結合蛋白質を同定している。また、ここで同定された結合分子は、ミエリン再編に関与する分子ネットワークに含まれていると考えられるので、研究初年度と同様にインビトロ共培養システムを利用して、その可能性を検討するために、それぞれの分子をインビトロ共培養システムに導入し、その是非を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな分子ネットワークに関係する分子を数種類以上同定しており、そのミエリン編成に関与する是非を検討するところまで研究が進行しているから。
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Strategy for Future Research Activity |
インビトロ共培養システムで選定された分子の遺伝子改変マウスを作製することで、その役割を検討する。それには2種類の遺伝子改変方法(1)ミエリン特異的プロモーター制御下で、組織および時期特異的にCreERT2を発現させることで、標的分子のshRNAが転写誘導されるトランスジェニックマウス作成法(2)ゲノム編集によるノックアウト法を用いる。前者のマウス作製方法は、応募者独自の技術であり、既に予備的に成功している(鳥居,応募者ら Biochem.Biophys.Res.Commun. 2014/2015の技術を応用したもの)。マウスでミエリン再編の推定時期にCreERT2を誘導することで、ミエリン再編にどのように選出される分子が関与するのか検討できる。一方、ゲノム編集に関しても既に応募者の研究室への技術移管が達成されており、2種類のゲノム編集マウスの作製に成功している。ただし、ゲノム編集を用いた場合、ノックアウトされる分子の種類が限られる。それは、ゲノム編集マウスが完全ノックアウトマウスの部類に相当するためである。もし発生期のミエリン形成に関与する分子がノックアウトされると、それ以後におきるミエリン再編への分子の関与は判断できない。
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