2018 Fiscal Year Annual Research Report
Functional analysis of Exoc1 gene involved in embryonic development and gametogenesis
Project/Area Number |
17H03566
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
八神 健一 筑波大学, 医学医療系, 特命教授 (40166476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 聖哉 筑波大学, 医学医療系, 助教 (10633141)
杉山 文博 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90226481)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | EXOC1 / マウス / 初期胚 / 配偶子 |
Outline of Annual Research Achievements |
エキソシスト複合体(Exocyst Complex)は、8つの異なるタンパク質(Exoc1~Exoc8)で構成され、小胞輸送やゲノムDNAの安定性において重要な機能をもつことが知られている。我々は先行研究において、胚性致死となる自然発症変異マウスの解析よりExocyst Complexの構成因子の一つであるExoc1が受精卵の発達に必須であることを明らかにした。しかしながら、成体の各臓器・組織におけるエキソシスト複合体の機能はほとんど分かっていない。そこで本研究では、成体におけるExoc1の遺伝子発現部位を解析し、その組織特異的なノックアウトマウスを作出することで、成体におけるExoc1の機能の理解を目指す。 2018年度は、新たにある細胞系譜特異的にExoc1を欠損したマウスを作製した。興味深いことに、二つの条件付きExoc1遺伝子欠損マウス系統が異常な表現型をしめした。両者ともにストレートなcreマウスであるにも関わらず、ひとつの系統では生後すぐに異常表現型が認められ、もう一方は、生後8週齢から異常な表現型をあらわれ、月齢を追うごとにその重篤度が増した。更に我々は同様の異常表現型を示す別の遺伝子欠損マウスを見出し、その遺伝子がコードするタンパク質がExoc1により制御される可能性を見出した。興味深いことにExoc1は、これらの分子とともに幹細胞分化も制御するデータも得られ始めている。 最近、Exoc1はExocystの一部としてだけではなく単独で機能する可能性が他の研究グループから報告された。そこで、我々が発見した異常な表現型がExocystの機能不全もしくは機能低下によるものなのか、それとは別のExoc1の単独の機能が障害されたことによるものかを検討するために、Exoc1以外のExocyst構成因子を欠損させたマウスを作出し、その表現型を解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成体の各臓器・組織におけるエキソシスト複合体の機能はほとんど分かっていなかったが、本研究において、成体におけるExoc1の遺伝子発現部位を解析し、その組織特異的なノックアウトマウスを作出した。その後の解析において、異常な表現型を示す条件付きノックアウトマウスを発見し、更にその分子メカニズムの一端も明らかになってきており、研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
一つのExoc1条件付き遺伝子欠損マウス系統では異常な表現型が加齢に伴って重篤さを増していく。その分子メカニズムの本質は全くの不明であるため、Exoc1を欠損させた細胞だけをレーザーマイクロダイセクションで切り出して、RNA-seqを行うことでExoc1の下流シグナルの特定を目指す。また新規の遺伝子を発見したらその遺伝子を欠損したマウスを速やかに作製し、表現型を評価する。 Exoc1は小胞輸送に深く関わるが、輸送される分子に選択性があることが分かってきた。これらの特異的な分子の細胞内輸送および局在を確認するために超高解像度共焦点顕微鏡を用いたイメージングを実施する。 Exoc1はExocystの一部としてだけではなく単独で機能する可能性が他の研究グループから報告された。そこで、我々が発見した異常な表現型がExocystの機能不全もしくは機能低下によるものなのか、それとは別のExoc1の単独の機能が障害されたことによるものかを検討するために、Exoc1以外のExocyst構成因子を欠損させたマウスを作出し、その表現型を解析する予定である。 なお、市販の抗体では、免疫染色でExoc1を検出できる抗体は存在していなかったため、Exoc1のC末にエピトープタグをノックインしたマウスをCRISPR-Cas9を用いたゲノム編集で作出する。エピトープをC末にノックインすることでExoc1の機能が障害されることを防ぐためにエピトープタグのまえにflexible linkerを設置する予定である。このTagノックインマウスを用いてExoc1の細胞内局在を明らかにするとともに、Exoc1に結合するタンパクについても免疫沈降法で明らかにする。
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Research Products
(2 results)