2017 Fiscal Year Annual Research Report
ラットモデルを用いたアトピー性皮膚炎原因遺伝子の同定
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17H03569
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
庫本 高志 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20311409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 武人 岩手大学, 理工学部, 准教授 (30332878)
須山 幹太 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (70452365)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ラット / アトピー性皮膚炎 / 疾患モデル / 連鎖解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
アトピー性皮膚炎に悩む極めて多くの患者がいる。しかし、最大のリスクファクターである遺伝要因の解明は進んでいない。本研究では、アトピー性皮膚炎モデルラット(KFRS4/Kyo)を対象に、皮膚炎原因遺伝子を同定することを目的とする。平成29年度の研究実施計画は、アトピー性皮膚炎原因遺伝子の染色体マッピングとRNA-seq法による候補遺伝子の抽出であった。 原因遺伝子の染色体マッピングについては、(PVGxKFRS4)F2交雑子310頭を作出した。これらの皮膚炎発症の程度を12週齢から、2週間ごとに観察した。皮膚炎の重篤度により1~3までのスコアをつけた。口腔、両手足、胴体、頭頚部についてそれぞれスコアリングし、その合計を個体の皮膚炎スコアとした。皮膚炎が重篤になった場合(概ね合計スコア18以上)は、動物の容態に応じ、随時、安楽死処分した。 F2交雑子310頭のうち、260頭は皮膚炎を発症し50頭は皮膚炎を発症しなかった。皮膚炎の発症時期は、最も早いもので15週齢、遅いもので85週齢であった。観察期間中の、各個体の最高値は0から25であり、平均8.3(標準偏差6.9)であった。また、各個体のスコアの総計は、0から138であり、平均32.0(標準偏差30.6)であった。発症週齢、最高スコア、スコア総計を各個体の表現型値とした。さらに、脾臓を採取し、ゲノムDNAを抽出した。86個のSSLPマーカーを用いて、F2個体のジェノタイピングを行った。 RNA-seqについては、1週齢と6週齢のKFRS4とPVGラットの皮膚から精製したRNAを材料とした。KFRS4の皮膚で顕著に発現量が低下している遺伝子を5つ、顕著に増加している遺伝子4つを得た。 F2交雑子の皮膚炎発症スコアから、皮膚炎発症には複数の遺伝子が関与していると考えられた。よって、QTL解析による連鎖解析が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度中に、F2交雑子を310頭作出し、それらの皮膚炎発症をスコア化した。また、各個体からゲノムDNAを抽出し、86個のSSLPマーカーを用いてジェノタイピングを行った。常染色体上の単一遺伝子が皮膚炎を支配していると仮定した連鎖解析を実施したが、皮膚炎と連関しているSSLPマーカーは見出されなかった。そのため、KFRS4の皮膚炎を支配している遺伝子の遺伝子マッピングにはQTL解析が必要と考えられた。当初の計画は、皮膚炎遺伝子を特定の染色体領域にマッピングすることであった。そのため、進捗状況をやや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
QTL解析には、多数の遺伝マーカー、専用の解析ソフトが欠かせない。前者については、分担研究者の須山が、KFRS4とPVGラット間で多型のあるSNPを13,283個単離した。さらに、これらのSNPから全染色体に均等に分散するSNPマーカーを選抜し、ジェノタイピングキットを開発した。一方、解析ソフトについては、QTL解析の経験豊富な研究者と連携し、QTL解析を実施する目途が立っている。以上のように、詳細なジェノタイピングと経験豊富な研究者との連携により、KFRS4の皮膚炎発症遺伝子座の染色体マッピングを実施する予定である。
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Research Products
(1 results)