2017 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of a humoral immunity evaluation system based on the pregnant immunity system
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17H03571
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
亀谷 美恵 東海大学, 医学部, 准教授 (50338787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真鍋 良幸 大阪大学, 理学研究科, 助教 (00632093)
徳田 裕 東海大学, 医学部, 教授 (20163975)
伊藤 亮治 公益財団法人実験動物中央研究所, 実験動物研究部, 室長代理 (60425436)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヒト化マウス / 妊娠免疫 / ワクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、東海大学病院にて同意を得た初発乳がん患者43名および健常者37名の末梢血単核球(PBMC)の免疫担当細胞を、フローサイトメトリーを用いて解析した。一部のドナーPBMCはB細胞の特異的抗体産生を誘導できるNOG-hIL-4-Tgマウスに移植した。移植後、HER2部分ペプチドCH401MAPで免疫し、2週間後に追加免疫を行った後、移植4週間後の抗体産生能を解析した。 その結果、乳がん患者の28.6%では健常者に比べて未成熟なB細胞の割合・細胞数が増加していた。PBMCを移植しペプチド免疫したNOG-hIL-4-Tg マウスの脾臓細胞では、乳がん患者・健常者共に非常に多くの形質細胞様B細胞が維持されていたが、オプジーボを投与するとマウス脾臓中のB細胞画分の割合・細胞数は顕著に減少する傾向が見られた。マウス血清中のペプチド特異的IgGは、健常者では53.3%(8/15名・p=0.032)で亢進したのに対して、乳がん患者では11.1%しか亢進しなかった。以上の結果より、乳がん患者の末梢血では未成熟なB細胞が増加しているが、これらの細胞はマウス体内で抗体産生能を持つB細胞には分化しない事が示唆された。 また、ペプチドワクチンのアジュバントの開発を行い、BALB/cマウスにおいては、ミエロイド系の細胞の過剰な活性化は抑制するが、特異抗体産生は亢進するアジュバントの合成を行った。さらに、妊娠関連タンパク質であり免疫調節機能を持つ事が推測されるpregnancy-zone protein (PZP)の分子構造を解析し、その特徴を明らかにした上で、これらの分子を発現する重度免疫不全マウスの作製に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の本研究は、ほぼ予想通りの進捗を得ている。 平成29年度の計画は(1)担癌ヒト化マウスの系の確立と乳癌患者では健常者と比較して免疫抑制が生じている事を明らかにし、(2)同時にヒト化マウスに適した改良型ワクチンと免疫調節分子の開発、(3)NOG-PZP-Tg の作製を開始する、というものであった。 (1)については、研究代表者である亀谷は、徳田により同意のもと採取された血液よりPBMCを単離し、NOG-IL-4-Tgにこれらを移植し、ヒト化マウスを確立した。さらにこれらにHER2部分ペプチドであるCH401MAPを免疫し、特異抗体産生を誘導した。その結果、健常者と比較して乳癌患者PBMCではHER2ペプチドに対する抗体産生能の低下が生じている事を明らかにした。さらに、担癌マウスの作製に先んじて30年度以降に予定していた免疫チェックポイント抗体の投与を行い、免疫系のシフトについてフローサイトメトリーを用いて解析を開始している。 (2)については、研究分担者である真鍋が、HER2ペプチドにTLRリガンドと糖鎖をベースとしたアジュバントを結合した改良型ワクチンを合成した。亀谷がこれらのワクチンをBALB/cマウスに免疫した後、フローサイトメトリー及びELISA法を用いて脾臓中のリンパ球の動態および抗体産生能を解析した。その結果、フロイントアジュバントより高い抗体産生能をもつが、炎症性のミエロイド系細胞の増殖は抑制する事が出来るアジュバントの合成に成功した。また、これらのアジュバントとCH401MAPを結合し、健常者PBMCを移植したヒト化マウスに投与すると、抗体産生が可能である事を明らかにした。 (3)については、研究分担者である伊藤がヒトPZPの遺伝子を単離し、この遺伝子を全身に発現するNOG-PZP-Tgの作製に着手した。 このように、現在までに29年度にすべき計画はほぼ順調に達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
ほぼ申請書通りに推進する予定である。今までのところ、特に大きな変更点や問題点はない。 ただし、今回、平成30年度以降に行う予定であった担癌マウスの作製に先んじて、PD-1抗体による免疫系への影響をヒト化マウスについて行った。これについては、現在個体数を増やして有意差について検討する予定であるが、今年度中に、平成29年度に予定していた担癌マウスを作製する予定である。また、ヒト化マウスへのプロゲステロン投与についても本年度行い、マウスの実験系をこれらについて確立する事を先行して行う。引き続き、PZPを発現するNOGマウスを作製し、完成すれば、ヒト末梢血単核球を移植する事によって、ヒトリンパ球の動態を明らかにする。この間にアジュバントの作製と効能についてはBALB/cマウスを用いて検討しておき、最終年度に真鍋らの開発したアジュバントをペプチドと結合した乳癌ワクチンとしてヒト化マウスに投与する実験を行う。
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[Journal Article] B-cell populations are expanded in breast cancer patients compared with healthy controls.2018
Author(s)
Tsuda B, Miyamoto A, Yokoyama K, Ogiya R, Oshitanai R, Terao M, Morioka T, Niikura N, Okamura T, Miyako H, Saito Y, Suzuki Y, Kametani Y, Tokuda Y
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Journal Title
Breast Cancer
Volume: 印刷中
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] NOG-hIL-4-Tg, a new humanized mouse model for producing tumor antigen-specific IgG antibody by peptide vaccination.2017
Author(s)
Kametani Y, Katano I, Miyamoto A, Kikuchi Y, Ito R, Muguruma Y, Tsuda B, Habu S, Tokuda Y, Ando K, Ito M.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 12
Pages: e0179239
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Long-term maintenance of peripheral blood derived human NK cells in a novel human IL-15- transgenic NOG mouse2017
Author(s)
Katano I, Nishime C, Ito R, Kamisako T, Mizusawa T, Ka Y, Ogura T, Suemizu H, Kawakami Y, Ito M, Takahashi T
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 7
Pages: 17442-7
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Human PBMC-transferred murine MHC classI/II-deficient NOG mice enable long-term evaluation of human immune responses2017
Author(s)
4.Yaguchi T, Kobayashi A, Inozume T, Morii K, Nagumo H, Nishio H, Iwaata T, Ka Y, Katano I, Ito R, Ito M, Kawakami Y
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Journal Title
Cellular and Molecular Immunology
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A novel in vivo model for predicting myelotoxicity of chemotherapeutic agents using IL-3/GM-CSF transgenic humanized mice2017
Author(s)
Ito R, Nagai D, Igo N, Okuda Y, Sekine K, Ichimura E, Katano I, Mizushima T, Goto M, Ohnishi Y, Ito M, Okamoto K
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Journal Title
Toxicology Letter
Volume: 281
Pages: 152-157
DOI
Peer Reviewed
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