2017 Fiscal Year Annual Research Report
HOX関連白血病における15-PGDHによる白血病幹細胞制御機構の解明
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17H03579
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
岩崎 正幸 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 客員准教授 (70790913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大里 元美 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特別招聘教授 (90314286)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 白血病幹細胞 / 15-PGDH / MEIS1 / MLL / HOX |
Outline of Annual Research Achievements |
MLL白血病を含むHOX関連白血病において、MEIS1は白血病幹細胞に必須な制御因子である。我々はMEIS1によって誘導されると共に白血病幹細胞特異的に発現している遺伝子として15-PGDHを同定した。15-PGDHはプロスタグランジン分解酵素として知られているが、白血病における報告はなく、その役割は不明である。15-Pgdhを強制発現させるとHoxA9白血病マウスの発症期間は短縮し、白血病幹細胞の頻度も著しく増加するという実験結果を得ており、白血病幹細胞の自己複製の維持に重要な役割をしていると考えられる。本研究は、15-PGDHによる白血病幹細胞の制御機構の解明を通じて、白血病幹細胞を標的とした新規治療法の開発への研究基盤を確立することが目的である。本年度は、主に患者検体由来のMLL白血病細胞を用いた実験を行ない、(1)MLL白血病ではヒト白血病幹細胞濃縮分画であるCD34+CD38-細胞特異的に15-PGDHが高発現しているが、MLL以外の白血病ではほとんど発現していない。(2)shRNAにより15-PGDHをノックダウンしたところ、コロニー形成能が著しく減少し、白血病細胞の形態は未分化な細胞から最終分化した細胞に変化していた。(3)15-PGDHをノックダウンさせたMLL白血病細胞を免疫不全(NSG)マウスへ異種移植したところ、白血病を再構築しなかった。一方、MLL以外の白血病細胞ではマウスに白血病を再構築した、という結果を見出した。このことから、15-PGDHはヒトMLL白血病の発症および維持においても必須であることが明らかとなった。我々は、15-PGDHの白血病発症に関わる機能は既知の酵素活性によるものではないことを見出しており、今後、未知の機能の解明を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、患者検体由来のMLL白血病細胞を用いて、15-PGDHが白血病の発症に重要な役割を果たしていることをin vitroおよびin vivoで証明できた。プロスタグランジンE2はCOX-2により正に制御され、15-PGDHにより負に制御されている。今回、COX-2をMLL白血病細胞に強発現させても細胞増殖やコロニー形成能に変化が見られないことも確認することができ、15-PGDHの白血病発症に関わる機能は酵素活性によるものではないことを示唆する新たな証拠を見出している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は15-PGDHのMLL白血病発症に関わる未知の機能の解明を進めていく。具体的には、15-Pgdhの白血病発症に必須な責任領域を同定していきたい。さらに15-PgdhノックダウンさせたMLL白血病細胞を用いてRNA-seqによる網羅的遺伝子発現プロファイリング解析を行い、15-Pgdhによる白血病幹細胞の未分化性維持および自己複製能に必須な経路やその制御に関与する遺伝子を同定したいと計画している。
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Research Products
(3 results)