2017 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanism of therapy-induced senescence caused by replicative stress
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17H03598
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北尾 洋之 九州大学, 薬学研究院, 教授 (30368617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯森 真人 九州大学, 薬学研究院, 助教 (20546460)
釣本 敏樹 九州大学, 理学研究院, 教授 (30163885)
三浦 大典 九州大学, 農学研究院, 特任准教授 (40532627)
沖 英次 九州大学, 大学病院, 助教 (70380392)
佐伯 浩司 九州大学, 大学病院, 助教 (80325448)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | DNA複製ストレス / 細胞老化 / M期スキップ |
Outline of Annual Research Achievements |
がん化学療法において、細胞死を伴わなくとも細胞増殖を不可逆的に停止する「治療誘導性細胞老化」と呼ばれる現象が近年注目されている。申請者は、新規抗腫瘍薬TFTDの薬効成分でフッ化チミジンアナログであるトリフルリジン(FTD)が細胞レベルで非常に効率よく細胞老化を誘導することを見出した。そのメカニズム解明に向けて、今年度はFTD及び既存抗腫瘍薬による細胞老化誘導過程の追跡を行った。具体的には(1)生細胞ライブイメージングによる治療誘導性細胞老化に至る過程の追跡、および(2)既存の複製ストレスを伴う抗腫瘍薬による影響との比較を行った。 (1)生細胞ライブイメージングによる治療誘導性細胞老化に至る過程の追跡 FTD曝露時に細胞老化マーカーSA-β-Gal染色陽性細胞が出現する過程について、Fucci技術を利用し、FTD曝露時のがん細胞の細胞周期進行モニタリングを行った。レンチウイルスを用い、Fucciシステム観察用の蛍光タンパクを発現したHCT-116細胞を樹立し、観察したところ、FTD曝露後に主に2周目にM期スキップが起こること、さらにM期スキップが起こる前にS-G2期進行にかかる時間の延長が観察されることを定量的に確認した。 (2)既存の複製ストレスを伴う抗腫瘍薬による影響との比較 ピリミジン系ヌクレオシドアナログ(ジェムシタビン)、DNAポリメラーゼ阻害剤(アフィディコリン)では、強くDNA複製が阻害され、細胞老化も誘導されるが、1周目にM期スキップを観察することが多かった。フッ化ピリミジン型抗腫瘍薬(5-FU)では、細胞老化は誘導されるが、DNA複製ストレスによる老化等ではなく,別の反応が起きていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたFTD及び既存抗腫瘍薬による細胞老化誘導過程の追跡については、おおむね行うことができ、FTDによる細胞老化誘導メカニズムの特徴・特異性について、明らかにすることができた。 次年度に向けて、必要な細胞株も樹立することができ、一部解析も開始することができている。 当初の計画通りにおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、他の細胞株における細胞老化誘導の有無について、検討する。細胞老化誘導には、p53が必須であることが知られているが、申請者の注目する抗腫瘍薬による細胞老化誘導におけるp53の寄与について明らかにするために、ゲノム編集技術を用い、p53遺伝子を欠損したヒトがん細胞株を作製し、FTDおよび既存抗腫瘍薬による細胞老化誘導の有無について検証する。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Monitoring trifluridine incorporation in the peripheral blood mononuclear cells of colorectal cancer patients under trifluridine/tipiracil medication.2017
Author(s)
Nakanishi R, Kitao H, Kiniwa M, Morodomi Y, Iimori M, Kurashige J, Sugiyama M, Nakashima Y, Saeki H, Oki E, Maehara Y.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 7
Pages: 16969
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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