2017 Fiscal Year Annual Research Report
キノームの生理的基質同定に基づく細胞内シグナルパスウェイ大規模解析
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17H03605
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石濱 泰 京都大学, 薬学研究科, 教授 (30439244)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | キナーゼ / リン酸化シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
国内外のゲノムワイド関連解析により、様々な疾病原因は個々の遺伝子よりもシグナルパスウェイ毎の異常に集積されており、特にガンは十数種のパスウェイに原因遺伝子が分布することがわかってきた。これらのパスウェイにはすべてリン酸化シグナルが関わっている。したがって、様々なパスウェイ毎のリン酸化動態を全体として理解することが、細胞内シグナル解析には必要とされる。本研究では、(1) キナーゼ毎に生理的基質を大規模に同定する方法を確立し、(2) それを500種のキナーゼについて適用し細胞内キナーゼ―基質相関を解明することにより、細胞内リン酸化ネットワークの分子基盤を明らかにし、(3) さらにこの基盤情報に基づいて、細胞内シグナルパスウェイ大規模解析法を確立することを目的としている。本年度は(1)に取り組み、キナーゼの生理的基質大規模同定法として、安定同位体標識と組換えキナーゼを用いたin vitroキナーゼ反応を、キナーゼ阻害試料に対して施すことにより、マススペクトル上で内在性リン酸化部位と区別する手法(isotope tagging motif-targeting法, iMOT法) を検討した。モデル実験として、CK2阻害薬を用いた。キナーゼ反応を行わなかった場合(すなわち通常の定量的リン酸化プロテオーム解析)、2090リン酸化ペプチドが同定され、そのうち、キナーゼ阻害により、リン酸化シグナルが2倍以上減少したものは93種であった。一方CK2によるキナーゼ反応を行った場合、1013種の18Oを含むリン酸化ペプチドが同定され、そのうちリン酸化シグナルが2倍以上増加したのは550種であった。これら550種のリン酸化ペプチドにはすべて内在性リン酸化ペプチドペアが存在しており、CK2の生理的基質同定がわずか2時間弱のLC/MS/MS測定で可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
siRNA実験の代わりにCRISPR-CAS9の系の検討を開始した。また細胞内でのキナーゼ―基質間相互作用をとらえるため、BioIDの系の立ち上げを開始した。
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Research Products
(13 results)