2019 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on genomic basis for parthenogenesis in nematodes
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17H03609
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
小原 雄治 国立遺伝学研究所, 先端ゲノミクス推進センター, 特任教員 (70135292)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ゲノム進化 / 長距離DNAシーケンス / ハプロタイプ |
Outline of Annual Research Achievements |
モデル生物C.elegansに最も近い種である線虫Diploscapter coronatusは長期にわたり単為発生を続けてきたと考えられる。この線虫のゲノムは、相同染色体が互いに約6%という高いヘテロ性を示し、減数分裂に関わる遺伝子の欠損や異常が見つかった。単為生殖は雑種形成から始まると言われているが、本線虫の元になりえると推定されている線虫のゲノム配列決定及び本線虫ゲノム配列のphasing(相同染色体毎の完全配列決定)を行い、ゲノム比較により形成過程の手がかりを得たい。 このために、これまでにPacBioロングリードとIrysシステムを用いてD. coronatusゲノムのphasing(相同染色体毎の配列決定)に向けたハイブリッドアッセンブリを行い、最長69.1Mb、N50が22.8Mbの非常に大きいScaffoldが得られた。それぞれのScaffoldの順番は相同という前提で、それぞれの相同染色体が、一方は3つのScaffold(長さは2~69Mb)、他方は9本のScaffold(1.5~22.7Mb)でカバーされたと考えられた。この結果から、染色体上の遺伝子の並び方をC.elegans(染色体6本)と比較し、染色体融合の可能性を検討した。しかし、単為生殖の特殊性を考えると、染色体構造を確定する必要があることから、染色体FISHによるScaffoldの順番決定、Nanopore MinIONによる解析、HiC法による解析等を計画したが、成育が遅く、またコンタミが激しいためにまだ十分な結果が得られておらず、引き続き試料調製を進めている。 また、単為生殖開始経路を検討するために、Diploscapterに最も近いと思われるProtorhabditisの2種について、こちらも成育が遅く難航しているが、ゲノム解読の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
確認のための計画が生育の遅さとコンタミのために遅れているが、PacBioのロングリードとIrysによる長距離scaffold構築が予想通りでき、数本のscaffoldでカバーされるまでにアッセンブルを進めることができ、染色体上の遺伝子の並び方をC.elegans(染色体6本)と比較し、染色体融合の可能性を検討できている。
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Strategy for Future Research Activity |
単為生殖の特殊性を考えると、染色体構造を確定する必要があることから、 染色体FISHによるScaffoldの順番決定、Nanopore MinIONによる解析、HiC法による解析等を進める。このために、これまで問題であったコンタミを除去して成育させ、必要な試料を確保して解析を進める。 また、単為生殖開始経路を検討するために、Diploscapterに最も近いと思われるProtorhabditisの2種について、ゲノム解読を行うが、ドイツ・ケルン大学の共同研究者から入手した株はコンタミが激しく成育が遅いので、その除去を行い、試料調製を進める。
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